GRAPEVINE、全25曲で見せた新境地。ツアーファイナル・豊洲PIT公演をレポート!
2015.06.09 20:20
4月より2年ぶりの全国ツアー「GRAPEVINE Tour 2015」を開催したGRAPEVINE。その最終公演が、2015年6月6日、豊洲PITにて行われた。RO69では、この模様をライヴ写真とレポートでお届けする。
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最新作『Burning tree』のリリースに伴い、4月から全17公演をまわってきたツアー『GRAPEVINE tour2015』のファイナル。ライヴ本編中はほとんどMCらしいMCもなく、全25曲のセットリストが畳みかけられるように進められたのだが、だからこそ、このGRAPEVINEという卓越したロックバンドが今どのような高みにいるかが明確に示される、風格と凄味に満ちたライヴとなった。
ライヴは、自分語り調のリリックに仄かな感傷を纏わせた田中和将(Vo・G)の歌唱に、西川弘剛(G)の泣きのソロが火を点ける“IPA”から始まった。アップテンポの曲でロケットスタートを切るのではなく、あくまで緻密なアンサンブルの力を見せつけることでフロアの熱をじわじわと高めていくやり方が何ともバインらしい。この曲と、続く“Empty song”の、西川と金戸覚(B)のコーラスを従えつつどこまでも高らかに伸びわたる田中のシャウトを聴けば、バンドのコンディションの良さを確認するには充分。その上で、まず特筆すべきはやはり、この2曲を含めた『Burning tree』収録曲たちの演奏だろう。“MAWATA”での高野勲(Key)が導いた壮麗なブレイクを打ち破る亀井亨(Dr)のパワフルな連打、“流転”での 田中のファルセットと西川のリヴァーヴの効いたギターとの官能的な絡み、“死番虫”でのウィルコの名曲“Via Chicago”を彷彿させる崩れ落ちながら燃え上がるような演奏、“サクリファイス”のまるで鎮魂歌のように荘厳な音像、などなど。11曲全てが演奏された『Burning tree』の収録曲、そのどれもがそれぞれ異なる角度からロックのカタルシスを解放させる瞬間を有していた。『Burning tree』はセルフプロデュースによりバンドが心ゆくまでスタジオでの作業を尽くしたことで、過去最高に多種多様なアレンジが凝らされた作品だった。そんな曲たちの世界観を平然と再現し、さらにはライヴならではのダイナミズムまでも上乗せしてしまう。それはもちろん、このツアーがもたらした成果なのだろう。それにしても、これだけのキャリアと実力を持ちながら未だ成長を止めないバンドの姿勢には素直に敬服してしまう。
さて、では『Burning tree』以外の曲はどうだったか。先に言ってしまうと、ほとんどの曲に今の彼らの(つまり、『Burning tree』の)モードに合わせた新アレンジが施され、情報量が格段に増しており、これまた掛け値なしに素晴らしかった。テンポと音圧の細やかなコントロールでストレンジなグルーヴがより強化された“SOUL FOUNDATION”。音数を絞りに絞ることで逆に跳ねるビートの破壊力を増幅した“Darlin’ from hell”。ぶっといボトムによって曲が元来持っていたブルース感を引き上げたキャリア最初期の“覚醒”。そうした、音源の時点でも極めて高い完成度を持っていた曲たちが、その完成度を崩さぬまま、次々と新たな表情で提示されていった。中でも、ライヴのハイライトと言うべき圧巻の出来だったのが、アンコールの最後に演奏された“B.D.S.”だ。バンドが放つ第一音目から、凄まじいスケールの音像が一気に目の前に広がる。堅実で音の太いリズム隊、フレージングに宿る強い個性を自然に溶け込ますキーボード、出す音がことごとく百発百中のギター、そして、繊細さと力強さが高次で同居したヴォーカル。微塵の隙もないバンドのその実力が余すことなく表れた大熱演に、フロアの熱気もまた今日のピークを刻んでいた。自分たちの「観せたいもの」を観客の「観たいもの」としてしまう、それほど強固な説得力を手にしているのである、今のGRAPEVINEというバンドは。そして、こちらとしてもこんな演奏を、こんなライヴを観せられては、もう2つしか言えることがない。「参った」と、「一刻も早くライヴ盤を出してくれ!」の2つしか。(長瀬昇)
●セットリスト
1 IPA
2 Empty song
3 SOUL FOUNDATION
4 Tinydogs
5 スラップスティック
6 アルファビル
7 MAWATA
8 1977
9 流転
10 Big tree song
11 Darlin’ from hell
12 片側一車線の夢
13 死番虫
14 Weight
15 Silverado
16 KOL
17 疾走
18 Esq.
19 覚醒
20 サクリファイス
21 吹き曝しのシェヴィ
(アンコール)
22 NOS
23 羽根
24 アンチ・ハレルヤ
25 B.D.S.
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なお、今回発表されたライヴの詳細は以下の通り。
・9月12日(土) 日比谷野外大音楽堂
OPEN 16:45/START 17:30
・9月26日(土) 大阪城音楽堂
OPEN 16:15/START 17:00
※チケット 前売5,000円(税込) 7月18日(土)一般発売