6月11日からアメリカ・ツアーに乗り出しているモリッシーだが、オバマ大統領について「中身は白人のようだ」と語っている。
音楽サイトのオルタナティヴ・ネイションの取材に応えたモリッシーは、オバマ大統領が任期を終えることとヒラリー・クリントンが出馬を表明していることについてどう思うかと訊かれて次のように答えている。
「(2008年に)ぼくがヒラリーを批判したのは最初の候補選でヒラリーがオバマの揚げ足取りをしたからで、かなりやり方としていかがなものかと思ったからなんだよ。でも、今では大統領職に確実に向いてるのはヒラリーだし、ほかに肩を並べてる人ははっきり言っていないよ。アメリカの政界で活動しているほかの女性をみても、ミシェル・バックマン、アン・コールター、サラ・ペイリンとか、みんな毛が逆立っているようなおぞましい感じだからね。その点、ヒラリーは今では冷静沈着のように見えるよね。でも、女性の大統領が誕生したからって必ずしもなにかが変わるわけではなくて、マーガレット・サッチャーの例でもわかるように、もし間違った方向に行っちゃうと、国民はその後、二度と女性に陣頭指揮を任せることもなくなっちゃうよ。実際問題としてサッチャーのせいでイギリスの政治の世界で活動する女性にとってのありとあらゆる希望の芽は摘まれてしまったといってもいいし、それはそれ以降の政界の流れを見れば歴然としていることだし、それになんといってもサッチャーは自分の党によって首相をクビになったんだからね! 保守党という党でさえサッチャーについて我慢ならなくなったとしたら、イギリスの国民がどれほどのものだったかそれはもう想像に難くないよね!
人が当選するのは実は投票されていないからだとほとんどいってもいいわけで、どういうことかというと、最終的に当選した人の獲得投票数は当選しなかったすべてのほかの党の獲得投票数の総数と較べて必ず少ないわけだから、首相や大統領が当選したのは国民がその人を選んだからだと考えるのは間違ったことなんだよ。それはただの錯覚だから。たとえば、ロシア国民がプーチンを実際に好んでいることの裏付けとなるものはなにもないんだけど、プーチンは大統領の椅子に座るためにどうやって国民の目をくらませばいいのかそのやり方をよく会得しているんだよ。
ぼくとしてはオバマには腑に落ちないところがあって、それは黒人の人たちが一番支援を必要としている時にオバマは彼らを支えようとしないからなんだ……たとえば、ファーガソンでの白人警官による黒人少年銃撃事件がそのいい例なんだけど。もし(犠牲者の)マイケル・ブラウンがオバマの娘たちのひとりだったら、国民に対して、国民の治安を守る部隊である警察を支持するようにと発言するようなことはしないと思うんだけどね。人々を不安に陥れるような人たちのやっていることをどうして治安などと呼べるのか。オバマは中身が白人みたいだよね。アメリカでは人種的な断絶がはっきりとあって、それが今爆発しかかっているのに、その職務に決して忠実ではない白人の警官に殺されている無実な黒人たちのことをオバマは一度も救済しようとしないんだからね。普通だったらオバマに対しては、黒人として生きることの意味をもっと理解しているものだと期待して当たり前だと思うよ。でも、これまでのオバマはその期待にまるで見合ってきていないよ。アメリカ以外の全世界から見れば、アメリカの警察が暴走してどうしようもない状態になっているのが明らかなのに、警察を支持しろと言い続けるなんてまるで意味がないことだよ」
また、キラーズのブランドン・フラワーズからかつてストーカー行為にあったことについては次のように語っている。
「キラーズはぼくの"ホワイ・ドント・ユー・ファインド・アウト・フォー・ユアセルフ"のカヴァーをやっていて、とても素晴らしい出来で、細かいところまで配慮の行き届いた出来だったから、これについてはずっと感謝したいと思うし、ブランドンはいつもプレスでぼくについていいことしか言ってくれないから、それも安心できるよね! そう、確か数年前にホテルでブランドンからストーカーされていたことがあって、でも、隠れているのがぼくには見えていたし、なにをしているのかぼくにはわかっていて……それがすごく可笑しかったんだけど。まあ、ぼくにはってことだけどね」