10-FEETと作る俺たちの遊び場、大盛況! 雨にも負けない「京都大作戦」初日レポート!

10-FEET photo by みやざきまゆみ
SHANK photo by HayachiN
SHANK photo by HayachiN
dustbox photo by HayachiN
dustbox photo by HayachiN
氣志團 photo by HayachiN
氣志團 photo by HayachiN
ACIDMAN photo by HayachiN
ACIDMAN photo by HayachiN
Dragon Ash photo by HayachiN
Dragon Ash photo by HayachiN
BRAHMAN photo by HayachiN
BRAHMAN photo by HayachiN
10-FEET photo by みやざきまゆみ
サンボマスター photo by HayachiN
10-FEET photo by みやざきまゆみ
10-FEET photo by HayachiN

2015年7月4日~5日の2日間、10-FEET主催フェス「京都大作戦2015」が京都府立山城総合運動公園・太陽が丘特設野外ステージにて行われた。RO69では、初日2015年7月4日の模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

--------------------------

 朝から降り続いた雨は結局、一度も止むことはなかった。日が落ちるにつれてだんだんと強まる雨脚に比例して、気温も下がり、足元はぬかるんでいく。でも、集まった2万人のオーディエンスは、最後の10-FEETのライヴが終わるその瞬間まで、この場を去ろうとはしなかった。10-FEETが作ったこの最高の「遊び場」を、雨だろうが風だろうが楽しみつくすのが彼らへの最大の賛辞であり、恩返しだとここに集まった2万人は知っているからだ。台風で中止となった幻の第1回目を除けば、今回で8回目の開催となった「京都大作戦」。10-FEETと出演アーティストと観客、全員が一体となって作り上げる奇跡の2日間の模様を以下でレポートしていく。

 昨年と同様、今年も会場である京都府立山城総合運動公園には3つのステージが用意された。メインステージ「源氏ノ舞台」、セカンドステージ「牛若ノ舞台」、そしてストリートボールリーグSOMECITY OSAKAによるトーナメントが行われる「鞍馬ノ間」。午前10時59分。「源氏ノ舞台」のビジョンに、「60」「50」……と開演までの秒数のカウントダウンがはじまる。各ステージに出演するアーティストの名前が次々と現れる中、刻々と開始時刻が迫ってくる。「10、9、8……」と叫ぶオーディエンスの雄叫びが1秒ごとに大きくなっていく。京都大作戦2015、いざ開幕!

 すべてのアクトのトップバッターを任されたのは、長崎発の若きスリーピース・SHANKだ。“Long for the Blue Moon”にはじまり、さあ体を温めろと言わんばかりの怒涛のセットリストで巻き起こす、ハンドクラップ、モッシュ、ダイヴ、ジャンプ、スカダンス! 「俺らが大作戦のでっかいステージに立つにあたって、いろんな人が自分のことのように喜んでくれました。10-FEETには本当に感謝の言葉しか見つかりません」「俺らがこれから何を守って何を壊していくか、興味のある人は見といてください」と語る庵原将平(Vo・B)の姿に、メロディックの未来の欠片が見えた気がした。

SHANKに続いて登場したdustboxは、1曲目から巨大サークルがいくつも発生する盛り上がりっぷりにメンバーも満面の笑みを浮かべている。「奇跡起こそうぜ!」と“Here Comes A Miracle”“Tommorrow”などアンセムを連打していく。今年3月に長年連れ添ったドラマー・REIJIが脱退し、新メンバー・YU-KIを迎えて16年目を歩みはじめた彼ら。新体制初お披露目ライヴが行われた京都MUSEでのライヴには、盟友10-FEETとROTTENGRAFFTYが見に来てくれたという。最後はベースを10-FEETのNAOKIが弾くというスペシャルバージョンの“Neo Chavez 400”にTAKUMA、KOUICHIも乱入し大団円!

 「♪氣志團 氣志團 氣志團 今宵 俺たちは友達のように歌うだろう」――という替え歌に乗って現れたのは、2012年以来2回目の出場となる氣志團だ。初っ端から10-FEETの“goes on”のカヴァーを披露すると、「てめえら準備はいいか? タイマンだぞ俺とお前らの!」(綾小路 翔/DRAGON VOICE・MC・G)と煽り最新曲“Don’t Feel,Think!!”へ。某ダイエットジムのBGMに乗せてのメンバー紹介など抜群のエンターテインメントを見せつつ、自身もフェスを主催する立場として「ライバルでありマブダチ」の10-FEETへのリスペクトを語る。最後は“One Night Carnival”で会場を熱狂の渦へと誘った。

 4年振りの出場となるACIDMANは “造花が笑う”でライヴをスタート。最初のMCで「『いっ祭 がっ祭 感じな祭』、これをドラムの一悟くんが読み間違えて……」「いっぱい おっぱい さわりなさい」(浦山一悟/Dr)「と言ったことを謝罪します」(大木伸夫/Vo・G)と笑いをとる。“Stay in my hand”“ある証明”で観客を泥まみれになるほど盛り上げると、最後は「俺たちも、みんなも、地球も、宇宙もいつかは死んでしまう。すべてはゼロに戻ってしまう。だからこのかけがえのない瞬間を、どうか心の底から楽しんでください」と熱い想いを込めたバラード“世界が終わる夜”でしっとりと締めた。

一方、セカンドステージである「牛若ノ舞台」も、「源氏ノ舞台」でSHANKのアクトが終わるのと同時にライヴスタート。口火を切ったのは初出場となる04 Limited Sazabys。《きっと間違えられないな 京都大作戦のこのステージを!》と歌詞を替えて興奮をあらわにした“monolith”で、牛若のオーディエンスのボルテージも一瞬にして最高潮に。その後は「いっ祭! がっ祭! たのしみな祭!」とコール&レスポンスで盛り上げたtricot。TOSHI-LOWが乱入してthe LOW-ATUSとして2曲、リリースされたばかりのMONOEYES“My Instant Song”などを弾き語りで披露した細美武士。「今日牛若ステージで一番でっかいサークル見てぇな! 繋がろうぜ全国から来たみんな!」とオーディエンスをひとつにしたNAMBA69。「このオファーが来たとき『来たー!!』っつって叫びました」とその喜びを熱い演奏にぶつけたBACKLIFT。JESSE(Vo・G)がモッシュピットへと突入し、飛び込んできたダイバーをハグするほど密なライヴを披露したThe BONEZ。そして最後はROTTENGRAFFTY・N∀OKIも乱入し「アロハー!」と会場を陽性の空気で包み込んだSUNSET BUSが1日目を彩った。

雨脚もいよいよ強まってきた中、満員の「源氏ノ舞台」のオーディエンスの前に現れたのは、初回以降フル出場となるDragon Ashだ。1曲目の“陽はまたのぼりくりかえす”で起こる一面のハンドクラップに「大作戦会いたかったぜ!」とKjも笑顔。“Fantasista”“Life goes on”と大ヒット曲を立て続けに披露し、泥まみれの観客のボルテージを更に上げていく。KenKenの超絶ベースソロからヘドバンの嵐を巻き起こした“The Live”、「10-FEET大好きだぞー!」とKjが叫んだ“百合の咲く場所で”、そして最後はなんと10-FEETのカヴァーで“SHOES”をプレイ! 初回からずっと、10-FEETと共に京都大作戦を作ってきた彼らだからこその、愛情に溢れたアクトだった。

20年を遡る映像がヴィジョンに映し出されると、2万人が頭の上で手を合わせる――BRAHMAN、京都大作戦に初降臨である。怒涛の勢いで8曲を演奏、モッシュピットへその身を投じていく中で、TOSHI-LOWはようやく口を開く。「バンド。仲間。ライヴ。京都大作戦。こんな光景があるなんて、あいつにも見せてやりたかったな。“PLACEBO”」。すると後ろからもうひとり、ピットに飛び込んだのは――そう、細美武士! この日だからこそ起こった奇跡の光景、圧巻だ。「始まった当初からずっと誘われている。でも断ってきた。なぜここに来たか。悪いマスコミと10-FEETを懲らしめに来ました――」とMCでTAKUMAをいじり倒した後、「自分たちが京都大作戦に何をできるのかを考える、はじめの年にしてください」と観客に告げ、最後は“鼎の問”で終了。大作戦史に残り続けるであろう伝説の時間だった。

初日のアクトも残すところ数組、「源氏ノ舞台」トリ前のスロットにはサンボマスターが登場。直前のTOSHI-LOWのMCに対し、山口隆は言う。「俺に何ができるかと思ったわけですよ。俺にできることはあんたたちと一緒。楽しんで楽しんで楽しんで……アホミラクルを起こすことだと思うんですよ!!」――降りしきる雨でずぶ濡れ、踊って暴れて泥まみれのお客さんに、ミラクルを起こすべく「もっと」「もっと」と煽っていく。2万人の声が京都の空に響いた“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”、そして“ロックンロール イズ ノットデッド”まで、2万人+3人の京都大作戦への「愛」がそこにははっきりと見えていた。

朝から降り続いた雨はこの時まで止まないまま、いよいよこのフェスの首謀者=10-FEETのアクトを迎えることとなる。高々とタオルを掲げて待つお客さんの前に、メンバーがひとり、またひとりと現れる。「準備はいいかー!? 怪我すんなよー!? でも怪我する寸前まで行けよー!?」というTAKUMAの声に観客が怒号のような雄叫びで応えると、1曲目に鳴らされたのは“RIVER”! イントロだけで大歓声、巻き起こるサークルモッシュに大合唱。Kjがステージに乱入すると、観客にスマホやライターで明かりを灯すように声をかける。会場中が美しく光り輝く中、「年に一回なんだよこんな仲間が集まるフェス!」といつになく嬉しそうだ。TAKUMAも「持つべきものは友達やな! いいね身内ノリ。そういうのウチの売りやと思ってます。友達の前でやるつもりでやります」と応え、“focus”“SHOES”となだれこんでいく。ヒーローインタヴュー風の掛け合いが笑いを誘ったKOUICHIとTAKUMAのMCの後は、大阪籠球会とのコラボレーションで“Freedom”。1日の疲れも雨も足元の悪さも全部ここで吹き飛ばすかのように、オーディエンスも今日一番の盛り上がりを見せる。「悔しかったこと。悲しかったこと。これから意味合いを変えていこうぜ!」との前振りから演奏された本編最後の“その向こうへ”で巻き起こった大合唱とハイタッチには、今京都の地でこの2万人と会えたことの喜びを噛み締めるような感慨があった。鳴りやまないハンドクラップに応えて再び現れた3人。“BE FRIENDS AGAIN”に続いて、「最近メンバー3人で曲作ってるんですけど、なかなかできんくて。全部未完成です――未完成のままやります。途中までしかないけど。お前ら友達だから」と新曲を披露。優しい歌声で歌われるそのバラードに、そして何よりこの場で未完成の曲を演奏してくれるということに、なんだか鼻の奥がツンとくる。「いつかちゃんと聴かせるわ」というTAKUMAの言葉を胸に、最後の曲“4REST”で心行くまで踊りまくって……フィナーレへ。あいにくの雨もなんのその、笑顔いっぱいの大団円の中で初日は幕を閉じた。(安田季那子)

--------------------------