ピーター・フック、ニュー・オーダーから4億円以上の収入を収奪されたと訴える

ピーター・フック、ニュー・オーダーから4億円以上の収入を収奪されたと訴える - ニュー・オーダー 1983年作『権力の美学』ニュー・オーダー 1983年作『権力の美学』

元ニュー・オーダーのピーター・フックはニュー・オーダーを相手取って訴訟を起こしたことが明らかになっている。

ピーターは2007年にバンドを脱退し、その後バンドもいったん解散したものの11年からバーナード・サムナー、スティーヴン・モリス、ジリアン・ギルバート、フィル・カニンガム、トム・チャップマンというラインナップで活動を再開し、今年の9月にはオリジナル・アルバムとしては10年ぶりとなる新作『ミュージック・コンプリート』をリリースしている。

脱退以来、常にバーナードとバンドへの批判を繰り返し公言してきたピーターだが、BBCの伝えるところによれば、今回の訴訟ではバンドがその資産を不当に運用し、230万ポンド(約4億2600万円)を超える資金を収奪されることになったと訴えているという。

もともとバンドはデビュー以来契約してきたファクトリー・レコードが1992年に倒産した際、バンドの権利関係などを管理する会社であるヴァイタルターン社を設立し、ピーターのほか、バーナード、スティーヴンとジリアンのオリジナル・メンバーの4人で会社の資産の持分を4等分したという。

ピーターが2007年に脱退した際も彼は自分のヴァイタルターン社での持分を放棄することはなかったが、その後、バーナードとスティーヴン、ジリアンの3人が11年にニュー・オーダーとして活動を再開するにあたってニュー・オーダー社をあらたに設立し、このニュー・オーダー社がニュー・オーダーというバンドの使用権やバンドとしての活動からの収入の運用管理権を10年間引き継ぐことになったという。

ピーターはこの措置によって自分の取り分を損なわれたと訴えていて、彼の法的代理人のマーク・ワイエスはこの措置が「秘密裏に念入りに計画され周到に実行された」ものだとしながら、次のようにたとえている。

「それはまるでジョージ・ハリスンとリンゴ・スターがある金曜の晩にジョージの自宅で共謀し、ザ・ビートルズにおけるポール・マッカートニーの権利の持分を剥奪し、そのことをオノ・ヨーコにも伝えなかったというような状況だった」

ピーター側の訴えでは2011年のニュー・オーダー社の設立以降、バンドは780万ポンド(約14億4450万円)もの収益を得ていて、ピーターはこれまでの損害賠償として230万ポンド以上もの金額を要求しているという。さらにピーターには現時点で、現在のバンドの印税収入、グッズ販売やライヴ報酬を合わせた収入の1.25パーセントが支払われているというが、ピーターはその10倍の12.5パーセントを要求しているという。

バンド側の法的代理人のデイヴィッド・ケイスメントは、バンドはピーターにまっとうな対応をしてきていると反論し、ピーター側の訴えは現在のバンドの活動をただ阻害したいか、あるいはあえて自分も今のバンドに加わりたいかのどちらかとしか思えないとしていて、ピーター抜きでバンドがすでに活動を軌道に乗せている現在の状況を完全に取り違えた訴えになっているとしている。さらにバンド側は次のように声明を発表し、メディアでの伝わり方も偏っていると次のように指摘している。

「ピーターが今回の訴えをこんな形でしてきたことについてバンドはとても残念に思っています。また、報道もいくつかの点をまったく無視しています。たとえば、ピーターは脱退前の作品については今でも完全に自分の持分の印税収入を受けています。今回の訴えは、あくまでもピーターが脱退した後、2011年以降のバンドの活動の取り分について争われているものです」

なお、裁判所は今回のピーターの訴えを正当なものとして認めたため、今後公判が行われることが決定している。
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする