【コラム】オフコースは生きている! 初のファンベスト『ever』ハイレゾ試聴会に行ってきた!

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オフコースのメジャーデビュー45周年(!)を記念して、2015年12月16日(水)にリリースされるベストアルバム『OFF COURSE BEST "ever"』。実に通算10作目のベスト盤にして、オフコース初のファンベストとなる『ever』の発売を目前に控え「ハイレゾ試聴会」が12月11日に開催される、しかもオフコースのドラマー・大間ジロー&当時のスタッフ・柿崎譲志(映像作品『NEXT』に黒スーツ&サングラス姿で出ていた方です)両氏がゲスト登壇!と聞いて、一も二もなく参加してきた。

メッセージフォーク全盛の70年音楽シーンの中で、時代/社会への主張の切れ味ではなくひたすら音楽の純度と精度を高めることに心血を注ぎ続け、テレビの脚光にも背を向け、カリスマ性ともファッション性とも無縁なところから“さよなら”“Yes - No”などの大ヒットを生み、ポップミュージックの可能性を次々に切り開いていったオフコース。そんな完全音楽至上主義なバンドの歩みも、伝説の1982年の武道館10日間ライヴも、1989年の東京ドームのラストコンサートも、不運にも解散直後にその音楽世界に囚われることになった当時高校生の「後追い」組の自分は地団駄踏みつつ追想することしかできなかった。が、そこからかれこれ四半世紀の間オフコースの音楽を「後追い」し続け、42歳になった今では細胞の隅々までオフコースが浸透しきっているため、今回の試聴会にもRO69スタッフに引かれるレベルで勢い勇んで参加表明してしまったのだが、それは本稿とは関係ないので置いておく。

特設サイトで「一番好きな曲」「一番心に残る曲」とその楽曲にまつわるエピソードを一般募集した中から、上位18曲が収録されている『ever』。そのリリースに先駆けて、東芝EMI(現・ユニバーサルミュージック)時代のオリジナルアルバム10タイトルのハイレゾ音源がe-onkyo musicにてダウンロード販売されており、今回の試聴会ではその18曲の中から10曲をハイレゾ音質で聴くことができた。筆者が個人的に最も愛聴しているアルバム『SONG IS LOVE』(1976年)の楽曲が『ever』には1曲もセレクトされていないことも、本稿とは関係ないので置いておくとしても、明らかに人生の大先輩の方々から20代のファンまで居並んだ試聴会で我々が触れたのは、今までCDとカセットテープで必死に「後追い」してきたオフコースとは完全に別物の音楽体験だった。オリジナルのマスターテープからリマスタリングを施したハイレゾ音源で、しかも大音量で聴くオフコースは、完全に「今、ここ」の音楽だった。

サウンドメイキングやミックス/マスタリングの時代ごとの流行り廃りを飛び越えて、その歌とアンサンブルに施された緻密な意匠の数々を、震えるほどの生々しさで伝えてくるリアルな音像。若々しい小田和正/鈴木康博の歌声はもちろんのこと、特にCDのサンプリングレートでは主旋律やリズムに埋もれがちな“Yes - No”のバッキングギターや“言葉にできない”のアナログシンセのコードワークといった細かい部分が、192kHz/24bitのサウンドの中でくっきりとしたフォルムと定位をもって鳴っている。70年代末〜80年代の音楽史を揺るがしたオフコースのメロディと楽曲――その精緻な構築美に改めて驚かされたし、感激を禁じ得なかった。

多層コーラスを織り込んだ名曲を次々に生み出しながら、小田和正&鈴木康博ふたり時代のフォークミュージックから、松尾一彦/清水仁/大間ジローを加えた5人編成でポップスへ、ロックへと踏み込んでいく……というバンドの歴史をハイレゾ音源で追いつつ、大間&柿崎両氏が披露するエピソードトークも実に興味深いものだった。当初はサポートとして参加した大間ジローの加入への流れ、彼から見たメンバーの人間性、鈴木康博の脱退と「5人オフコース」への想い。レコード会社ともマネジメントとも違う原盤制作会社という立場ながら、スタッフとして/友人としてメンバーと向き合った柿崎とバンドの関係性のこと。オフコースの音楽の真髄のみならず、それを生み出した人間模様までもが垣間見える一夜だった。

個々のプレイのニュアンスまでヴィヴィッドに伝わるハイレゾ版“生まれ来る子供たちのために”を聴いた後、オフコースにとっても転機作となった『Three and Two』(“生まれ来る〜”“愛を止めないで”など収録)について、大間は感慨深げに振り返っていた。LAでのミックスのスケジュールが決まっていたので、スタジオを2部屋使って必死にレコーディングを進めたこと。作業が深夜、時には朝まで至っても翌日にはきっちり詞曲を作ってくる小田と鈴木の姿を見て、それまでの「ドラムを終えたらお役御免」状態にピリオドを打ち、最初から最後まで真剣にレコーディングに付き合うようになったこと。「みなさんは当時の恋とか、彼女/彼氏のこととか思い出すと思うんですけど、僕は間違いなくあのレコーディング風景を思い出します(笑)」と苦笑しながら語るその言葉が、ハイクオリティな音の結晶とともに胸に残った。

もしかしたらオフコースファンの在り方としては邪道かもしれないが、恋愛ともモテとも縁遠かった高校時代から今までずっと、僕はオフコースの曲をいわゆるラブソングとして聴いたことはほとんどなかった。恋愛を題材にしつつも、時代性やディテールを極限まで削ぎ落として「本当に大事なこと」だけを編み上げた詞世界。透徹したコードワークと、極限まで磨き上げられたメロディの精度。そして、美しき音世界と圧巻のポピュラリティを支える、それこそキング・クリムゾンあたりを思わせる一分の無駄も隙も許さない緊迫感……シーンの高みへ昇るべくして昇ったバンドの必然が凝縮された楽曲の数々は、他でもない音楽自体が最高のポップの魔法たり得るという証明そのものだった。時代の空気感も恋愛の形も大きく変わった今なお、オフコースの音楽が愛され続けているのも、まさにそういうことなのかもしれない。

なお、『ever』は2015年12月16日(水)に高音質SHM-CDフォーマットで発売されるほか、ハイレゾ音源リリース済みの東芝EMI時代の楽曲で構成された全20曲の『OFF COURSE BEST "ever" EMI Years』が同日にe-onkyo musicから配信リリースされることも決定している。これまで数えきれないほどその音に触れてきたファンも――いやそういう方こそ、オフコースの「生きた」音に今こそ触れてみていただきたい。(高橋智樹)
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