いつ頃からだろう。Charisma.comが、昼間のワイドショーの類で話題にされていることがあって、とにかく若い女性から熱狂的な支持を受けていた。MC いつかやDJ ゴンチ本人が出演するわけでもないのだけど、実際にファンの姿が映されて、熱いコメントが寄せられていたりもする。今年1月には新曲“ジョブ後のメイク”が付録CDとして同封された書籍『がめつくストロング~毒舌OLラッパー、世間をぶった斬る!~』が発売されて、2月19日には『ミュージックステーション』に初出演し“サプリミナル・ダイエット”を披露。そんな追い風ムードの中で待望のニューアルバム『愛泥C』はリリースされた。
若い女性の共感・支持を得ているといっても、MCいつかの痛快で毒気に満ちたラップの矛先は、まさに同世代の若い女性に向けられていることも多い。そもそも《がめつくストロング》のフレーズを持つ“HATE”がそうだった。そういう僕も、何の知識も持たずに2013年の「モテキナイツVol.2」で初めてデビュー直前のCharisma.comを観て、クールな佇まいととりわけ“HATE”のかっこよさに一発でノックアウトさせられ、その場で3曲入りのCDを買ったりしたのだった(その3曲はすべてインディーズデビュー作『アイアイシンドローム』に収録されている)。
もちろん、男の上司やお局や嫌な顧客を槍玉に挙げる視点のラップは、若いOLの共感を得やすいだろう。ただ、性別も世代も違う僕のようなオッサンにとってさえCharisma.comはかっこいいし、いつ自分のような人間がターゲットにされるかとハラハラしながらも聴きたくなってしまう。つまり、楽曲の中でアイロニーとユーモアが弾ける「あるある」的なおもしろさが、より普遍的な魅力と化すアーティストなのではないか、と思うのだ。そう言えば先のMステ出演時は“サプリミナル・ダイエット”を話題に、タモリからも、男はわりとふっくらした女性の方が好みなんだけどね、といった言葉が出て、「あるある」の応酬トークみたいになっていてナイスだった。
新作『愛泥C』は全8曲(タワーレコード限定盤は“豚”を追加した全9曲)。ディープなバウンス感を備えた“腰掛けラップ”(以前の“お局ロック”と呼応していておもしろい)や攻撃的なダブステップにイライラ感を乗せた“等身大グレー”があれば、キャッチーなフックが飛び込んでくる“骨抜きに恋して”や“GODcustomer”もある。タイトルだけでいかにも「あるある」な“自撮—る”は最高だ。そのすべてのラップが小気味よく明瞭に意図が伝わるようデザインされていて、更に研ぎ澄まされたスキルを感じさせる傑作である。(小池宏和)