【完全レポ】小沢健二、ツアースタート! 新曲、名曲、大放出!

  • 【完全レポ】小沢健二、ツアースタート! 新曲、名曲、大放出! - イラスト:sucreusagi

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  • 【完全レポ】小沢健二、ツアースタート! 新曲、名曲、大放出! - イラスト:鈴木裕之

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小沢健二が、5月25日に全国ツアー「小沢健二 魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ」の東京公演をZepp Tokyoにて開催した。RO69では、この模様をイラストとレポートでお届けする。

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注意:以下、小沢健二のツアー「小沢健二 魔法的 Gターr ベasス Dラms キーeyズ」の初日、2016年5月25日(水)@ Zepp Tokyoのライブレポートですが、曲目・曲順も含めてネタバレありで書きます。セットリストも書きますので、知りたくない方は、くれぐれもお読みにならないでください!





では。まず最初に、セットリストから。 右に※がついているのが新曲です。

1. 昨日と今日
2. フクロウの声が聞こえる※
3. シナモン(都市と家庭)※
4. ホテルと嵐
5. 大人になれば
6. 涙は透明な血なのか?(サメが来ないうちに)※
7. 1つの魔法
8. それはちょっと
9. ドアをノックするのは誰だ?
10. 流動体について※
11. さよならなんて云えないよ
12. 強い気持ち・強い愛
13. 超越者たち※
14. 天使たちのシーン
15. 飛行する君と僕のために※
16. ラブリー
17. その時、愛※
EN シナモン~フクロウの声が聞こえる
※全て新曲。作詞・作曲:小沢健二

以上、すべて、曲。つまり、2010年の「ひふみよ」ツアーや2012年の「東京の街が奏でる」の時のようなモノローグ(朗読)は、なし。
バンドメンバーは、小沢健二の背後をぐるりと囲むような配置。左から、ドラム白根佳尚、ベース中村キタロー、パーカッション及川浩志、アナログ楽器&コーラスHALCA(HALCALI)、ギター木暮晋也、キーボード森俊之。なお、HALCAの「アナログ楽器」というのは、小沢健二がメンバー紹介の時にそう言っていたのでそのまま書きましたが、パーカッションとかテルミンとか小さな鉄琴とかチューブラーベル(『NHKのど自慢』で「鐘」と呼ばれていいてキンコンと鳴らされる、あの縦型のでっかい鉄琴みたいなやつ)などを演奏していました。
メンバーと小沢は、ネイティヴ・アメリカンのような飾りものを頭につけたり、顔にペイントをしたりしている、といういでたち。
過去の曲たちは──特に1曲目に披露された“昨日と今日”などに顕著だったが、ぐいぐいとグルーヴィーでダンサブルで、かつ緻密なバンドサウンドに、生まれ変わっていたりする。「ひふみよ」ツアーの時はホーン、「東京の街が奏でる」の時はストリングスがいたが、それがない分ストレートでアグレッシヴ。いや、「ない分」というか、そういう音にしたいから、なしにしたのか。

新曲を披露する時は、ステージ後方の画面に歌詞が出る。その出方が曲によって異なった。
①無音の状態で、あるいは長いイントロにのって、歌詞がすべて画面に映し出されたあと、曲が始まる。
②イントロにのって歌詞がある程度映し出されたあと、小沢が一緒に歌い始める。
③曲が普通に始まり、歌と同時に歌詞が出る。
大きく言うと、その③パターンがあった。ゆえに、歌詞がはっきりとわかったわけだが、どの曲もすごい。目を見開いて歌詞を凝視しながら耳から必死と音と声を取り込む、そんな異様な集中力がフロアに立ち込める状態。
たとえば、曲名にも表れているし、そもそもの「魔法的」というタイトルにも表れているが……うーん、どう書いても、どう引用しても、チープに見えそうで怖い。とにかく、日本語におけるロックの歌詞で伝えられるものの容量や表現方法を刷新してきた小沢健二が、「何曲か新しいのができた」からツアーをするのではなく、「次のやりかたそのものを作った」から本格復帰した、ということなのでは。と思わせるくらいのインパクトだった。
なお、アンコールの曲を終えたあと、小沢のこんな言葉で、ライブは終わった。
「今日最後のカウントダウンです。5、4、3、2、1。日常に帰ろう」

で。ここからは僕の妄想です。
前述のように、とてもていねいに、細部にわたるまで伝わるような方法で、小沢は集まったオーディエンスに、新曲たちをプレゼンした。本編ラストの“その時、愛”を歌う前には、「こんなメロディと歌詞を書いてきたので、この曲が終わるまでに覚えて歌ってほしいです、がんばってください。初めて人前でやるんですが」というようなことを言っていた。
こんなにていねいに新曲たちをプレゼンする理由。これ、もしかして、新曲たちを音源化するつもりがないんじゃないか。ライブでのみ触れることができる作品として、自らの新しい楽曲たちを位置づけているんじゃないか。というか、音源とライブで聴き手とコミュケーションする、という方法自体を、問い直そうとしているんじゃないか。
そういえば「ひふみよ」ツアーの時に披露した新曲“いちごが染まる”や“時間軸を曲げて”は、2014年にリリースされた同ツアーのライブアルバム『我ら、時』に入っているが、スタジオ音源にはなっていない。「東京の街が奏でる」に披露された新曲“神秘的”と“東京の街が奏でる”は、いまだになんの音源にもなっていない。
というようなことをさらに進化させ、新しい形を作ろうとしている、ということなのではないか。

んなわけねえだろ。というか、音源リリースの意義を問い直すとかいう前に、こんなすごい曲いっぱい作ったら、ちゃんと音源として残したいだろ、ミュージシャンだったら。何をバカなこと考えてんだ。
と、自分でも思うが、でもそんな考えが、観ているうちにどんどん強くなっていったので、書いてみました。
ちなみに、終演後、知人の某ミュージシャンにばったり会ったので、その考えを話してみたところ、「いやあ、そんなわけないでしょ」と一笑に付されて、ちょっと我に返りました。

なお、アンコールでは、このツアーと別に、6月21日に金沢21世紀美術館、6月26日に大分県立美術館で、「言葉は都市を変えてゆく 小沢健二 美術館セット×2」と題して、歌とギターだけで今回の新曲たちを歌うライブを行うことが、発表された。
小沢、「『岡崎京子展』の時みたいな感じ」と言っていた。補足説明すると、2015年1月24日から3月31日まで、東京・世田谷文学館で開催された「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」の、開催期間中最後の日曜日だった3月29日の閉館後に、突然アコギ1本(プラス、曲によってiPhoneに入ったリズムマシンも仕様)で、全12曲のライブを行った、その時のことです。その日、閉館間際に突然、このあと小沢健二のライブがあることがアナウンスで流れ、1時間強のライブが行われたのでした。
私、観ました。この時まだギリギリサラリーマンで、最後の日曜だから今日行かないと「岡崎京子展」終わっちゃうと思ったものの、日中は用事があって、閉館間際にあせって行ったところ、音楽業界人の知り合いが何人も来ていて、「さすが耳が早いですね」とか言われて「えっ何? なんかあんの?」ときいたら「知らずに来たんですか?」とびっくりされました。自分でもびっくりした。(兵庫慎司)
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