絶句するほど感動した。
先ほど、TOKYO FM系『SCHOOL OF LOCK!FRIDAY 学校運営戦略会議』で初オンエアされた、10-FEETの新曲“アンテナラスト”。シングルでは2011年の『その向こうへ』、アルバムでは2012年の『thread』以来、実に約4年ぶりのリリースとなる。これほどリリースに時間を空けるアーティストは、数少ない。「京都大作戦」も開催していたし、数多くのライブを行っていたとはいえ、リリースがないことにやきもきしていたキッズも多いだろう。これだけ時間が空いたことによって、期待はどんどん膨らんでいったし、その空気を感じた彼らが新たな一手を出しづらくなっているのではないか?という心配もあった。
そんな中で、遂に完成した“アンテナラスト”。まず聴こえてきたのは、TAKUMA(Vo・G)のアカペラだ。そして、切々と響く歌に寄り添うように、ギターやドラム、ベースが絡んでいく。まるで、TAKUMAの思いを、NAOKI(B・Vo)とKOUICHI(Dr・Cho)が支えるように。10-FEETという看板を背負ってメッセージを発してきたTAKUMAが、長い時間を掛けていち個人に戻り、裸の思いを書き上げた――それが“アンテナラスト”の歌詞なのではないだろうか。噛み締めれば噛み締めるほどに、TAKUMAが抱えてきた思いの大きさや、それをさらけ出すうえで時間と勇気が要ったことなど、様々なことが想像できる。ラストに響く咆哮は、まるで赤子のように素直だ。
とは言えTAKUMAの独壇場というわけではなく、楽曲は、フォークやレゲエ、メロディックパンクなど、彼らの内包する音楽性が滑らかにミックスされた、10-FEETの真骨頂として仕上がっている。TAKUMAそのものが10-FEETであるということ、そしてそれを真っ直ぐに信じているNAOKIとKOUICHIとの関係性が焼き付けられた、熱く美しく泥臭い名曲。TAKUMAの思いに、10-FEETという黄金のトライアングルに、深く深く感動せずにはいられない。(高橋美穂)