ドナルド・トランプ大統領誕生の衝撃をマイリー・サイラスやトム・ヨークらが発信

ドナルド・トランプ大統領誕生の衝撃をマイリー・サイラスやトム・ヨークらが発信

共和党ドナルド・トランプの大統領選勝利を受けて、これまでトランプに批判的だったミュージシャンやアーティストがさらにその傷や痛手の深さを表明している。

レディー・ガガは「アメリカよ、お祈りをして」と失意をツイートで表明した後、ニューヨークのトランプ・タワーの前で行われた10万人規模のトランプへの抗議デモに参加し、さらに次のようにツイートを連発している。

「この8年間で達成された社会的な変化について今日恐怖を感じている人がいるのなら、その変化はしっかり今もあるし、わたしたちがこのまま守っていくということをわかってください」

「アメリカ合衆国での混迷はトランプの無責任な選挙活動の産物です。彼は国民の手本になるような人物でないし、この混乱をみてください」

その一方でトランプに批判的でトランプが勝利にした際には移住も考えると語っていたマイリー・サイラスは涙ながらのビデオを上げていて、次のように心境を吐露している。

「まあ、わたしはたぶんほかの大多数の人たちと同じように……といっても、結果を考慮すると大多数の人たちと同じということにはならないし、わたしは実はすごく人とは変わっていて、わたしを取り囲んでいる人たちもまた、みんなわたしと同じように開かれた考え方と心を持っていたということなのかもしれない。とにかく、わたしはこれまでドナルド・トランプ以外の候補の支援についてはとてもあからさまに表明してきたつもりでした。わたしはバーニー(・サンダース)を猛烈に応援しました。ヒラリー(・クリントン)についても猛烈に応援しました。そして今でもヒラリーについてはいつか初代の女性大統領になるのにふさわしい人だと思うので、そのことを思うととても残念です。その機会がヒラリーに与えられてほしかったとただ思うばかりです。というのも、ヒラリーはそのために本当に長く闘ってきましたし、それにヒラリーがこの国を愛しているという時にわたしにはその言葉が本当に信じられるからです。ヒラリーがこれまでやってきたことは国を思ってのことだけなのです。ヒラリーは国をより良くしたいと思ってきただけなのです。でも、ドナルド・トランプが勝利演説を届けた後に、皮肉を込めて会場で流したように『ほしいものがいつも手に入るとは限らない』(ザ・ローリング・ストーンズの“無情の世界”のコーラスの歌詞。トランプの勝利演説後に会場で流された)のです」

「そしてハッピー・ヒッピー(マイリーのハッピー・ヒッピーズという青少年とLGBTのホームレス支援団体関係者)のみなさん、わたしたちは誰に対してもその人となりに適応してその人を受け入れていくべきなのです。だから、ドナルド・トランプ、わたしはあなたを受け入れます。そしてこれを口にするのは心が痛みますが、あなたのことをアメリカ大統領として受け入れることまでします。それはそれで良しとしましょう……というのも、今は希望を持ったヒッピーになりたいからで、わたしはみんなが歩み寄ってくれるように希望を持っていたいからです。ただ、わたしはオバマ大統領に、オバマさんに、大統領としてやってきてくれたことすべてについて感謝したいです」

さらにトランプに対しては次のように語りかけている。

「でも、お願いです、お願いですから他人に対しては共感と敬意をもって接してください、そうすればわたしもあなたに対してそうします。それにどんな形でも、どんなことであっても、あなたが話してみたかったり、理解したかったりする人は場合によってはあなたやあなたを支えてくれた人たちとは同じような考え方をしていないことがあるかもしれないのです。でも、あなたが自分の考え方を解放してみて心を開きたいというのなら、そうしてください、わたしはあなたにそのための鍵を渡します。ありがとうございます。ヒラリー、これまでたくさんのインスピレーションとなってくれてありがとう」

ちなみにトランプ陣営はこれまでにもストーンズの“無情の世界”やほかの楽曲を支援者集会などで使ってきて、その度にバンド側はトランプに対して無断使用であることを表明してきている。今回の使用をニュースで知ったミック・ジャガーは次のようにツイートしている。

「ちょうどニュースを観てたところなんだけど……ひょっとして就任式典でぼくに“無情の世界”を歌えとかいってきたりして。ははは」

あるいは、優位と伝えられながら結果的に敗北したという結果に対しての行き場のないわだかまりや当惑とどう向き合うのかということをザ・ルーツのクエストラヴは次のように心境としてインスタグラムで綴っている。

「無理やりもう寝ようかと思ってたんだけど。けど、そんなことやってる場合じゃないし。っていうか、この結果にどうあってもちょっとでもへこたれるわけにはいかないから。でも、勘違いしないでくれよ、俺はめちゃくちゃ怒ってるから。でも、俺は日頃から人に呼びかけてることを自分でも実践しなきゃならないんだ。俺が瞑想とか、先入観や負のエネルギーに自分の生活が支配されないようにする努力に相当な時間を費やしてきたことを考えたら、自分の気持ちをここでぶちまけてアホになっちゃったら本当に非建設的なことになってしまうんだ。正直にいうと、このコメントだってこれまでもう6回書き直してるから。どれも全部最後の言葉まできれいに削除し直して、というのも、キーボードを打ちながらどうしても自分の気持ちだとも思えなくなってくるんだよ。俺にはこれまで乗り越えなければならなかった欠点や短所のリストがほとんど富士山くらいの高さまで積んであったのをなんとかクリアーして現在に至ってるわけなんだけど、これまでの過去の何年間もの苦難を乗り越えるのに授かったなんかしらのこの力に今の俺はただすがってお祈りしたい。その力とパワーによってもう一度俺自身と俺の同朋(女性も宗教の違う人も性的少数者も投獄されてる人も移民も)を奮い立たせてもらえないかと。ていうか、もう朝の4時だし、8度目の原稿書く気にもならないし。でも、俺の友達の中にはめちゃくちゃ怒り狂うやつがいると思うんだよね。すると他人のことを名指しするような糾弾騒ぎにもなりかねないよ。もうどうでもいいけど。俺にはもうなんにもないんだ。今はね、もうなんにも」

その一方でスヌープ・ドッグはトランプの逆転劇について言及したチャット画面を次のようにインスタグラムで引用して紹介してみせている。

「すごいよな。アメリカのゾンビたちが本当に出現してこれを実現させたんだぜ。トランプ大統領だってさ。マジかよ。これまでたったの一度も行政も政治経験なしだって。なんて世の中だよ」

これに対してさらに「amerikkka(差別が平気で横行するアメリカの意味。元NWAのアイス・キューブが1990年にリリースしたソロ『白いアメリカが最も望むもの』で使ったアメリカの表記)だからこそ可能なことなんだよ」というコメントがついている。

マックルモア&ライアン・ルイスのMC、マックルモアは次のようにインスタグラムで投票日のことを振り返っている。

「今日起きたことについて俺の心の核のところでは失望して衝撃を受けて動揺させられている。俺は家族や大切にしている人たちとテレビを囲んで歴史が作られるのを祝う準備をしていた。娘にはかわいい青いドレス(青は民主党のカラー)を着させていた。マルティネリズ(ノンアルコール・スパークリング・ワイン)を開けながら娘を抱き上げてヒラリー・クリントンがアメリカ合衆国の初代女性大統領になるところを見届けるつもりだった。でも、それは起こらなかった。開票結果が知らされていくにしたがって、なんか内臓が気分悪くなってくる感じに襲われ、意味がわからず、不安に駆られるようになった。胃に差し込むような痛みが数時間も続いた後に選挙は終わった。テレビから離れると娘を連れて寝かしつけることにした。娘が寝る横で俺も横になりながら、俺はよく考えた。自分の力の及ぶことと及ばないことについて考えた。ドナルド・トランプが大統領になることについては俺の力は及ばない。これはもう決まったことだ。でも、これからどこへ向かうのか、それには俺の力を及ぼすことができる。俺は娘に愛することを教えよう。すべての人を、肌の色、性別、宗教観、性的指向、出生地など関係なく愛することを。人道を人に訴えかけていくことがどれだけ重要なことかそれを教えよう。非暴力的なコミュニケーションのあり方を教えよう。壁というものは人を分け隔てるものだと、その本来の特質のせいで壁は人と人とをつなげることができないと教えよう。俺にはやらなければならないことがある。それは今始まる。そのやらなければならないことだけが今の俺に心の平穏をもたらしている」

また、レディオヘッドのトム・ヨークは選挙結果が報道された後に自身のツイッターで"Burn the Witch"の歌詞の一部を上げたことで話題を呼んでいるが、その後、さらにザ・ニューヨーカー誌の選挙結果についての論評からの一節をツイートしている。

ピューリッツァー賞受賞経験もあるジャーナリストのデイヴィッド・レムニックによるそのコラムはアメリカの有権者はドナルド・トランプの虚栄と憎悪、傲慢と不実や野蛮さに満ちた世界で生きていくことを選択したのだと指摘しているものになっているが、特にこの事実が各メディアで報じられ、解説されるにあたってどういう兆候が見えてくるのかという一節をトムは次のように抜き出している。

「これからしばらくすると、(テレビの)コメンテーターたちはみなこの出来事がいかに普通なことかと言いくるめるようになってくるはずだ」

また、トムの"Burn the Witch"の歌詞引用では次のものが紹介されていた。

「すべてのアイ・コンタクトを避けろ相手に反応してはいけないメッセンジャーは撃ち殺せこれは低空飛行によるパニック・アタック6ペンスの歌を歌うんだこんな内容の」
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