AAAの西島隆弘と宇野実彩子が4月末に公開した、“Beauty and the Beast”の「歌ってみた」動画は、驚くべき反響を巻き起こし、YouTubeの再生回数は、公開から3週間も経たないうちに470万回を超えてしまった。AAAのファン、西島&宇野のファンだけでなく、たまたま動画を見たという人の心をも捉えて、SNSなどでその感動が拡散された結果だった。それほど素晴らしく美しい歌声だった。そして、その反響が先月12日の『ミュージックステーション』内のMトピのコーナーで取り上げられると、さらに再生回数は驚きの伸びを見せ、番組への出演を希望する声も多数寄せられたという。
そもそもふたりがこの曲を歌ってみようと思ったのは、西島が映画『美女と野獣』に号泣するほどの深い感銘を受けたことがきっかけ。そしてすぐに、ジョン・レジェンドとアリアナ・グランデが歌う素晴らしいその主題歌を「自分も歌ってみたいと思った」という。宇野に声をかけ、宇野もそれを了承。そして、「収録時間は3時間で、急遽制作したもの」だったというから驚きだ。だから、この動画は特別な演出も凝ったセットもなく、シンプルなレコーディング風景だったのだけれど、かえってそれがふたりの歌声を際立たせることとなった。私も初めてその動画を観た時には、純粋に、ふたりの歌声とハーモニーに心底感動してしまった。歌への、音楽への純粋な思いが溢れていたからだ。この歌を歌いたい。だから歌ってみた──それ以上の「動機」があるだろうか。素敵だと思う歌があって、自分もそんなふうに歌ってみたいと思って、近くに一緒に歌いたいと思える人がいて──。『ミュージックステーション』への出演を望む声が多かったというのも、「ふたりの歌声をもっと聴きたい」というリスナーの純粋な「動機」からだっただろうと思う。
そして先週、ついにその“Beauty and the Beast”を同番組で初披露することとなった。多くの人が期待を持ってオンエアを待っていたはず。ふたりは動画と同じように、お互いに向き合い、宇野のソロパートから歌が始まった。緊張がテレビ画面越しにも伝わってくる。かすかに震える声。しかしそれは、この曲が表現する心の震えをそのまま表しているかのようで、動画で見た時とはまた違った感動を生んだ。西島の歌も、まるで胸の鼓動がそのまま伝わってくるかのよう。そして、ふたりの声が重なる。それぞれの歌声が調和して、お互いの鼓動が溶け合うように美しいハーモニーを生み出していく。あとはもう言葉にするまでもない。ただただふたりの声に耳を傾けるだけの時間だった。歌い終わった後のふたりのはにかむような、少し誇らしいような笑顔がすべてを物語る。
歌う喜びに溢れていた。特別な高揚感とひとりじゃないという頼もしさ──きっと西島は、この曲に「歌を歌う」ということの幸福感、つまり歌というものの本質を感じ取ったんじゃないかと思う。だから「歌いたい」と強く思ったのではないか。普遍的な感動を生む名曲に出会って、そこに何ひとつ邪な気持ちが混ざらない。それがそのまま自分のパフォーマンスに反映される──すでに12年にも及ぶキャリアを持つ彼らだが、これほどピュアな気持ちで「歌」を表現できることがとにかく素晴らしいと思う。
番組オンエア前には、再生回数が686万回だった動画が、翌日朝には710万を軽く超え、いまは745万回を記録、その伸びはまだまだ続きそうだ。「歌いたい」という純粋な気持ちが多くの人の心を動かした。その事象自体が感動的だ。(杉浦美恵)
【反響止まらず】AAA・西島隆弘&宇野実彩子が『Mステ』で魅せた歌うことへのピュアな幸福感
2017.06.04 13:00