「音楽界きってのナイスガイ」ことデイヴ・グロール、そのサービス精神の旺盛さとお茶目なキャラクターは広く知られている。
そんなデイヴの監督作品である新曲“Run”のミュージック・ビデオはメンバーが老人に扮し、老人ホームや街中でめちゃくちゃに暴れまわるという、ファンならずとも思わず笑ってしまう内容だ。
“Run”に限らず、フー・ファイターズのミュージック・ビデオにはバンドのユーモアが詰まった作品が多くある。受賞歴があるものを含め、5本をピックアップした。
1. “Big Me”
バンド名をもじったお菓子「Footos」のCMという形をとった本作、「The Fresh Fighter」というキャッチコピーの通り、この「Footos」を食べると次々と困ったことが解決されていくのだが、なぜかデイヴが三つ編み姿のバンドマンとして登場、演奏をしているところが気になってしまう。
フー・ファイターズ名ビデオの歴史の幕開けといえる本作、若きメンバーの姿も観ていて楽しい。
2. “Everlong”
デイヴとドラマーのテイラー・ホーキンズは夫婦、もしくはカップルを演じており、二人ともが夢の中で不思議な世界に迷い込んでしまう。デイヴが夢の中で悪党を退治し一件落着、テイラーの夢の中に悪党が登場して......。
笑える、というよりその奇妙な映像から目が離せないミュージック・ビデオだが、テイラーの女装などメンバーのコスプレが既に板についているのがおかしい。
3. “Learn To Fly”
とあるフライトの機内を舞台にしたドタバタ劇に仕上げられている本作、デイヴは太った女性、ツインテールの少女、奇妙な動きのキャビンアテンダント、機長、FBI捜査官、そしてロック・スターと1人5役を演じ分けており、ベーシストのネイト・メンデルやテイラーも複数のキャラクターとして登場している。
終盤では機長が間違って飲んだ眠り薬により倒れてしまうが、異変に気付いたロック・スターのデイヴが飛行機を操り、ランディングさせてしまう。
機長が倒れる原因になった眠り薬を機内に隠す清掃員を俳優のジャック・ブラックとカイル・ガスが演じているのも見どころの一つだろう。
ちなみにジャック・ブラックは『ワン・バイ・ワン』収録の楽曲“Low”のミュージック・ビデオにも登場、デイヴと二人で暴れまわっている。
4. “Long Road To Ruin”
フー・ファイターズ「コスプレ」シリーズの最高傑作と言えるのがこちら。メンバーは病院を舞台とした70年代メロドラマの俳優たちを演じ、デイヴは主役の医者、テイラーは女ったらしの同僚、ギタリストのクリス・シフレットは病院に入院中の子ども、ネイトは柄シャツを着たなんとも胡散臭い、主人公の恋敵という役どころ。
すぐに泣いてしまう心優しいスターを演じるデイヴ、そもそもの人柄も相まってか、はまり役だ。
映画『セレステ&ジェシー』の主演で日本でも一気に知名度の上がった女優、ラシダ・ジョーンズが出演しているのも見逃せない。
5. “Walk”
真面目なサラリーマンに扮したデイヴはひどい渋滞に巻き込まれ、耐え切れずギターだけ持って車はそのままに歩き出してしまう。
ツキに見放されたデイヴが街中で次々と騒動を起こしていく様は観ていて痛快。相変わらずメンバーはビデオの様々な場面にカメオ出演している。
番外編:純粋にかっこいい「ロック・スター」フー・ファイターズが楽しめるミュージック・ビデオはこちら。
“The Pretender”
“Best Of You”
楽曲とミュージック・ビデオのギャップが魅力の一つとも言えるフー・ファイターズ、遂に出演を果たす「サマーソニック2017」ではどんなステージングを私たちに観せてくれるのか、今から待ちきれない。