Dungeon Monstersがラップブームを再び巻き起こす。『Mステ』で叩きつけた強烈な存在感

6月16日(金)にオンエアされた『Mステ』、岡崎体育や関ジャニ∞、そしてMONDO GROSSOとして満島ひかりがなんと16年ぶりに同番組でパフォーマンスを披露したりと、話題性の高いそうそうたる面々の中、明らかに空気感の違うグループがいたことにお気づきだっただろうか。

彼らこそが『フリースタイルダンジョン』で「モンスター」の座に君臨している最強ラッパーによるユニット・Dungeon Monstersである。

「ラップのことはあまり知らない」という方のために説明すると、『フリースタイルダンジョン』というのは、対戦型バラエティ番組で、挑戦者がモンスターと呼ばれるそう簡単には倒せない最強ラッパーと即興ラップで賞金100万を目指して戦う。Dungeon Monstersは、島人MCことCHICO CARLITO、狂気のブラックエンペラーことT-Pablow、ディスの極みメガネことDOTAMA、プリンス・オブ・ヨコハマことサイプレス上野、ミスターフルボッコこと漢 a.k.a. GAMI、浪速のTOO SHY SHY BOYことR-指定、そしてラスボス・般若の7人のモンスターから構成されている。

『フリースタイルダンジョン』のバトルでは、テレビでは放送できない過激なワードも飛び交い、その部分だけ「コンプラ」というモザイクと共に音声がカットされたりすることもある。しかし今回は、どんな言葉が飛び出すかわからないフリースタイルではなく、先日配信リリースされたバトルアンセム“MONSTER VISION”が披露された。

トークでは、『フリースタイルダンジョン』で番組MCも務めるZeebraが「我々ヒップホップも『Mステ』からだいぶ遠ざかってましたから」といった言葉をタモリと交わしていた。そしてパフォーマンスはCHICO CARLITOの勢いあるラップからスタート。そこからT-Pablow、DOTAMAとそれぞれのキャラクターが前面に出たラップを繰り出し、バトンを回していく。

サイプレス上野から漢 a.k.a. GAMI、そしてしっかりCreepy NutsのTシャツを着用したR-指定がカメラに顔を近づけ煽ると、最後は般若がサングラスを取り、力強い眼力と手振りで「夢見させてやる テレビじゃ映らねぇ 俺等の生き様」とお茶の間に「ラスボス」らしい強烈な存在感を叩きつけた。

こうして強い言葉をビートに乗せて繰り出すラッパーが集結し、『Mステ』のトリを飾るというのはある意味でかなり革命的な放送だったと思う。フリースタイルというのは相手を口で攻撃、簡潔にいうと、互いの悪口を言い合うわけだが、ただ悪口をいうだけではオーディエンスに熱狂や興奮をもたらすことは出来ない。韻を踏んだり、洒落の効いた別のワードに変換したり、そこに自分の強い意志を入れることも重要だ。

『フリースタイルダンジョン』では、いとうせいこうら審査員が判定するが、実際のフリースタイルバトルでは、オーディエンスの盛り上がりや拍手の多さでその勝敗が決まる。ただラップの技術があるだけでも口が悪いだけでも勝つことはできない、とても奥の深いバトルなのである。

いわばDungeon Monstersは、パフォーマーとして言葉とビートだけで伝える表現力、そしてオーディエンスを沸かすための「魅せ方」を兼ね備えたプロフェッショナル達で、今回の生放送ではラップシーンだけではなくより広い世界へそのことを提示した。『フリースタイルダンジョン』という番組から飛び出したDungeon Monstersが今後、更なるラップブームを巻き起こす台風の目になってくれることを期待せずにはいられない。(渡邉満理奈)
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