現地時間6月20日に他界したモブ・ディープのプロディジーだが、エミネムとケンドリック・ラマーがプロディジーへの追悼のライムを披露している。
プロディジーとモブ・ディープは90年代のハードコア、ヒップコアを牽引したユニットで、パブリック・エナミーやウータン・クランらと並んで政治、社会的に最も攻撃的な表現を追求しつつ、圧倒的なリスナーの支持も獲得していたことで知られている。
90年代ヒップホップからの影響を色濃く受けているエミネムやケンドリックはプロディジーとモブ・ディープからの影響も強く受けており、特にエミネムはデビュー時から、モブ・ディープへの執着と敬意を繰り返し語っていた。
ふたりはニューヨークのヒップホップ系ラジオ局「HOT97」のピーター・ローゼンバーグの番組にプロディジーの傑作ライムを偲ぶ音源を送り、ローゼンバーグがそれを番組冒頭で紹介した。
まず最初にエミネムが、モブ・ディープの『ジ・インファマス』収録曲、"Survival of the Fittest"の冒頭のライムを披露した。
「There's a war goin' on outside no man is safe from (外は戦争、安全な奴なんて誰もいない)/You could run, but you can't hide forever (その場だけ逃げられても、永遠に隠れるのは無理だ)/From these streets that we done took(そんなストリートから、確かに俺たちは奪ってきた)
You walkin' with your head down, scared to look(恐怖で頭を上げられず、お前は俯いて歩いてる)/You shook, ‘cause ain't no such things as halfway crooks(震えてるのは、半端な強盗なんているわけないって分かってるからだよな)」
その後、エミネムは「エミネムだけど、とりあえずプロディジーには安らかにお眠りくださいとだけ言いたい。仲間のあんたを愛してる。ヒップホップもあんたを愛してる。いつまでも惜しまれることなるよ」との言葉を贈っている。
その一方でケンドリックは、プロディジーのソロ・アルバム『H.N.I.C.』の収録曲、“Genesis”のライムを一節披露している。
「Respect the I-M-D(I.M.D.〈モブ・ディープ〉にリスペクト)/Fresh out the car is the R-A-double-P, E-R(車から颯爽と現れたのはラッパーの俺)P-E-double, when I speak it gets real(P.E.Double〈プロディジーの別名〉の俺が語るとヤバくなる)
Flakes try to tell me, "Yo Dunn, nah chill(カスどもは俺に言うんだ「おい、ボケ、穏やかじゃないぜ」)/You can't come out, wylin out like that(「いきなり出てきて暴れ回んなよ」)/Rhymes so vivid Dunn I see what you sayin"(「ボケなりにライムは鮮やかだし、言ってることはわかるけど」)
But you gotta understand how I feel(けど、俺の気持ちなんて分かりゃしない)/The pain and the hardship it took to build(ここまで来るために流した血と汗)/Years of frustration, some got killed(何年も苦労して、殺された奴だっていたんだ)」
なお、「HOT97」のピーター・ローゼンバーグが2008年に番組で行った、プロディジーへのインタビュー映像もYouTubeで視聴が可能だ。
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