「『自分よりも他人を』っていう暦の考え方はなんとなく納得できちゃうところがあるんですけど、物語の結論として『自分を犠牲にすること』が『他人を愛すること』とは違うことに気づいて、『欺瞞に満ちた優しい時間はこれで終わり』っていうところに至ったので、『そっか、俺は間違ってたんだな』って思って(笑)。それも衝撃でしたね」(神谷)
青春真っ只中である高校三年生の時期に、自分を犠牲にしながら数々のヒロインを怪異から救ってきた阿良々木暦。本作では、シリーズ通して貫かれたその行動理念を根底から覆す、彼の「青春の終わり」が描かれる。8年にわたってシリーズを牽引してきた神谷にとっても衝撃の展開だったが、それも含めて、本作のエンディングを描けることに喜びを感じていると語る。
「全部に付き合ってきてくれた人にとってみれば、『こんなにすごいご褒美が用意されてたのか』って思うような、『〈物語〉シリーズをずっと追ってきてよかった』って、みんながみんな納得してくれる話になっているので。(中略)最高のエンディングを用意してもらって、それを音にできる喜びは、カタルシスも最高潮でしたね」(神谷)
ひたぎ役・斎藤千和も、求められるテクニックの高さから、シリーズ開始当初は焦りもあったものの、8年を経て信頼関係が芽生えた現場を振り返り、こう語る。
「この仕事って、キャラクターがあまり歳をとらないので、時間が流れる感覚がふわっとしてきちゃうんですよ。でも作品はちゃんと年数が空くわけだから、そうすると、そのときの自分を振り返る指針になる気がしますね。(中略)自分の人生が変化していく中で、こうして変わらない作品に出させてもらうことの幸せ感をすごく噛みしめています」(斉藤)
8年間演じ続けてきた彼らに祝福されるような見事なエンディングを、一旦は迎えることになるアニメ〈物語〉シリーズ。
原作者・西尾維新、総監督・新房昭之も含めた〈物語〉シリーズの全体像が垣間見える、ファン必読のテキストだ。