『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』とDAOKO×米津玄師“打上花火”について


アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』、試写のタイミングがなかなか合わず、公開日にやっとレイトショーで観たのだが凄く良かった。
岩井俊二の原作に当時、心をギュッとつかまれたところも思い出して観返さずにはいられなくなるのと同時に(本当に近日中に観返します)、2017年でなければ生み出せないアニメーション映画としてたくさんの瑞々しい才能が迸るオリジナルの『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』も強く打ち出されていて、そこも素晴らしかった。
そしてDAOKO×米津玄師“打上花火”が主題歌として本当に優れていると感じた。

DAOKOが歌う1コーラス目のAメロと、米津が歌う2コーラス目のAメロが全く違う展開を見せるところは、パラレルに物語が進行するところとリンクしていると感じた。
つかめそうでつかめない幻想的なDAOKOの声と、心の奥に秘めたザラつきをいつになく剥き出した米津の声のコントラストは、主人公の少年少女の、同じ思春期にいながらの成熟度のズレ(ふたりの身長差もそれを象徴している)とリンクしているとも感じた。
そして誰もが知っている、夏休みが持つ、あの永遠に続きそうなのに儚く一瞬で消えていくような、気だるさと焦燥感の狭間で命が燃えているような、まさに打上花火のような時間感覚が見事にメロディでもサウンドでも表現されていると感じた。

1年前は『君の名は。』を観ている時に感じた、終わってしまうのはわかっているけれど、あと少しだけ、この映画の中の時間が続いていてほしいあの感覚がこの映画にもあった。
そう、この映画は夏が終わる前に、夏があと少しだけ終わらないでいてほしいという気持ちとリンクさせながら、大きなスクリーンで観ることを強くおすすめします。(古河晋)
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