フレデリックの音楽性として、コミカルなリズムと反復的/特徴的なリリックで聴く人を楽しませて踊らせる、というのは確かに間違っちゃいない。とはいえその個性ひとつを強みにして進んでいくと、恐らくリスナーは途中で飽きてしまうだろうし、今日のような熱狂的なライブを作り上げるのは相当難しいはずだ。しかしフレデリックの場合は、その個性を全曲に活かしながらもサウンドの根幹がめちゃくちゃ太い。骨伝導かってくらいに骨の髄まで低音に痺れた瞬間が何度もあったし、軽快に弾きこなしているけれどそのフレーズかなり難しいよね? というプレイが数えきれない程散りばめられているから目も離せない。その「誰でもノれる軽さ」と「誰にも真似できない重厚さ」の掛け算が抜群だなとつくづく思った。
全国ツアーや自身初のアリーナ公演を控えて、リリースやライブを重ねるごとに増えていくファンを全員桃源郷へ連れて行こうという揺るがぬ決意こそが、彼らをさらに強くしているのだろう。その意志をしかと受け止めることができた渾身のアクト、後日レポートします。(峯岸利恵)