痛みや苦しみ、いやらしさや悩ましさや如何わしさといった心の闇を捉えて燃やし尽くす怒涛の序盤は、これぞオーラルのロックエンターテインメントという手応え。本当に、ホールがスリル満点なアトラクションのように感じられた。
ところがアンコールの最後になって、それまでにオーディエンスを飲み込み続けてきた深淵がガラリと表情を変える。今回のツアーで重要なカギとなる、何年も大切に育て上げられてきた新曲が届けられたのだ。
ただ真っ直ぐに一筋の光を描くと言うよりも、ひどくもつれて絡み合った闇を丹念に解きほぐしてみせたような、執念のメロディとメッセージがそこにはあった。
すでにニュース記事も出ているが、この曲はフリーダウンロードという形で届けられる。深い闇と格闘し続け、これからも格闘し続けるオーラルだからこそ掴むことが出来た、希望の光である。一人でも多くの人に触れて欲しい曲だ。(小池宏和)