ジェイ・Z運営のTidal、プリンスの新作リリースへ。遺産管理団体との揉め事を経て和解


長らくプリンスの作品のリリース権をめぐって係争を続けていたプリンスの遺産管財団とジェイ・Zが運営するストリーミング・サービスのTidalが、共同でプリンスの未発表音源による新作を2019年にリリースすることを明らかにしている。

「Rolling Stone」によると、このプリンスの新作はリリースから2週間はTidalが独占的にストリーミング公開し、さらにリリース3週間目からはTidalで独占的にダウンロード配信を行うという。Tidal独占での配信・ダウンロード期間が終わったあとは、プリンスの遺産管財団が同新作のフィジカル販売を管理することになるという。

もともとプリンスはiTunesの印税率がアーティストにとっていい条件ではないなどと発言し、オンラインでの作品公開に懐疑的で、自主的な音源配信などを何度も試みていた。しかし、その後ジェイ・ZのTidalと合意に達し、生前最後の作品シリーズとなった『ヒット・アンド・ラン・フェーズ・ワン』『ヒット・アンド・ラン・フェーズ・ツー』をTidal独占でリリースしている。

そしてプリンスの死後、遺産管財団体は積極的にオンラインでの作品公開を行っていく方針を発表。その一方で、プリンスとの提携合意が成立した2015年以来、独占的に過去の作品を公開していたTidalへ公開差し止めを要求。

Tidalはプリンス自身との合意が生前に成立していたと抗弁し、遺産管財団体側はそれはあくまでも『ヒット・アンド・ラン』シリーズついての合意だったと反論していた。

そうした経緯を経て、ジェイ・Zはプリンスの未発表音源の公開についての合意が成立したことについて次のように語っている。

俺たちの唯一の目的はプリンスの音楽をプリンス自身が望んでいた形で世界と分かち合っていくことなんだ。思慮を重ねた、誠実な対話を経て、プリンスは『ヒット・アンド・ラン・フェーズ・ワン』と『ヒット・アンド・ラン・フェーズ・ツー』のパートナーとしてTidalを選んでくれた。

今回の新しいコレクションについては、プリンスの色褪せることのない遺産とその意志をこれまで通り、尊重して称えていくことになるよ。


さらに、管財団体側の顧問であるトロイ・カーターは次のように語っている。

今回の件が和解に至って、今回のアルバムという形で、プリンスとTidalの関係を称えることができることになって、とても嬉しく思います。ファンのみなさんには、プリンスの新しい音源を聴いて、プリンスの才能をあらためて堪能していただけることを楽しみにしています。