──今回は、『猫にジェラシー』というアルバムタイトルで。『猫ジェラ』。──もう、これがすべて、というタイトルで。タイトルにメッセージを込めるということではなく、『猫にジェラシー』という。これがあいみょんのアルバムに対するすべてのスタンスだなと。アルバムのタイトルは基本的に意味合いとかはなく、後付けだったりすることもありますし。かわいいな、なんかいいな、っていう感じでつけてます。──『瞳へ落ちるよレコード』もそうだったし、『おいしいパスタがあると聞いて』もそうだったんだけども。もはや、かわいくて、フックがあって、口にしたい言葉だったら──。そうそう。口にしたい、言いたくなるっていうのは私にとって大事かもしれないです。『猫にジェラシー』もたまたまだったんですけど。これは曲が先にあって。──あ、そこから取ってきてるのね。はい。いつも通り普通にアルバムタイトル考えてたんですけど、なかなかいいものが思いつかず。初期の頃は14文字、13文字にしようとか、漢字、カタカナってやってたけど……ああいうルールはやめたほうがいいですね(笑)。早々に5枚目でやめといてよかったです。それで、なかなかしっくりくるものが思い浮かばなくて。で、“猫にジェラシー”はもともと入れる予定だったので、『猫にジェラシー』、いいな、と。私の好きな漢字、カタカナでもあるし、いいなあと思って。初めて曲タイトルがアルバムタイトルになりました。
──そこで何かを言っちゃわないのがいいよね。恋の歌のエトセトラ、とかさ。ありますよね。──そういうタイトルをつけると、その意識を前提にリスナーは曲を聴いてくれるわけだよね。タイトルにはそういう効果もありますよね。タイトルがアートワークに影響するのはいいなと思うんですけど。私はこれまで、アルバムタイトルに影響された曲はそんなになくて。『おいしいパスタ〜』みたいに、パスタって歌詞どこにも入ってないやんっていうほうが、なんとなく自分は好みなのかもしれないですね。──その明快なスタンスが、楽曲を作り歌うアーティストとしての成熟であり、ある種の自信に感じられるね。アルバムタイトルとかツアーのタイトルとか、すべてにおいてタイトルは、歌詞ぐらいの気持ちでいるんです。そのぐらい大事。アルバムの中で歌ってる歌詞よりも、アルバムタイトルで選ぶ言葉のほうがすべてな気がして。それが、あいみょんという人間の語彙力やと思われる気がするんです。だからすごい慎重になります。そういうところのほうが、「センス」って言葉を使われません?──まさにそうだね。歌詞でも「センスある」ってたまに聞きますけど、どっちかというとタイトルとかアートワークとか、そういうところに「センス」って言葉を使われる気がして。だからビビってるんですよ。センス悪いって思われたらどうしよう、とか。だから慎重になるし、自分が開発した言葉を使いたいっていう意識もあるので、めっちゃ悩みます。タイトル難しい。いちばん語彙力を確かめられる気がして。──そうだね。語彙力であり、言語センスだよね。そうそう。でも今回は曲名をそのままタイトルにして。(別のタイトルは)思いつかなかったです。
──タイトルの話をもう少し続けさせてもらうと、アルバムタイトルを知っていると、「“猫にジェラシー”はこの曲か」という集中力を持って聴くことになるわけだけど、この曲は、その集中力にいい意味で肩すかしを食らわすようなところもあって。アルバムタイトルというものはアーティストが最後にリスナーにかけられる魔法であり、リスナーからすると最初にかけられる魔法なんだよね。たとえば、『ラストアルバム』ってタイトルで作品を出されたら──。その気持ちで聴きますよね。──そうだよね。だから『青春のエキサイトメント』っていわれたら、青春のエキサイトメントな気分で聴くべき曲なんだなと思う。爆発してんのかなみたいに思いますよね。だからアルバムタイトルもほんとに歌詞の一部、このアルバムの一部って思われちゃう気がするので、慎重になります。もしかしたらいちばん大事かもしれない。──でもあいみょんの場合は、そこで、具体的なガイドをしない。『おいしいパスタがあると聞いて』というタイトルのアルバムを聴くときは、どういう気持ちで聴いたらいいかわからない(笑)。わかんないですね、確かに。「どういう気持ちで聴きゃあいいねん」みたいなタイトルは面白いかもしれないですね。そういうの好きです。まったく意味のないような言葉ぐらいのほうが、個人的には好きですね。かわいい言葉やな、かっこいい言葉やな、覚えてもらえそうやな、インパクト残るかもしれんな、っていうぐらいの感覚というか。ほんまに私、アルバムタイトルに思いを込めたこと、ないっていったらあれですけど……どっちかといったら、意味があとからついてくる感じ。──なるほどね。でもこれはね、実はあいみょんにしかないスタンスでね。いやあ、みなさんどうやってつけられてるのかなと思いますけど。──強いていうならスピッツがつけるタイトルにもそういう上手さと仕掛けがあるよね。スピッツのタイトルはずるいですよねえ。すごい参考になります。「先やられた!」って思うことばっかです。自分で絶対思いつかないんですけど、なんか「やられた!」って。先にこの3文字使われてる!とか思うこと、スピッツに対してはめっちゃありますね。前回のアルバムタイトルも思いました。『ひみつスタジオ』、めっちゃいいやんって。──めっちゃいいよね。具体的に何かを規定しているわけではないけれど、とにかくワクワクさせるっていう。言葉と言葉の組み合わせ、無限じゃないですか。すごい勉強になるなって思うアーティストです。組み合わせが上手い、パズルが上手い。マジで上手いです。──『猫にジェラシー』はきっと多くの人がそう思ってるんじゃない?ほんまですか。よかった。「どういう気持ちで聴きゃあいいねん」みたいなタイトルは面白いかもしれないですね。まったく意味のないような言葉ぐらいのほうが、個人的には好きです