レッド・ツェッペリンとキング・クリムゾンがデビューし、ザ・フーは『トミー』を、そしてザ・ビートルズが『アビイ・ロード』をリリースしたのが、1969年のこと。
『ロッキング・オン』7月号では、ロックにおいて大きな変革となった1969年に焦点を当て、「ロック・ビッグバンの時代」と題した特集を掲載。ビートルズ、フー、キング・クリムゾンのロング・インタビューに加え、1969年にリリースされた20枚のアルバム・レビューなどを含む全54ページにわたる特集となっている。
ビートルズにとって実質的にラスト・アルバムとなった『アビイ・ロード』。そのリリース直後のインタビューにてジョン・レノンは、同アルバムのこと、バンドのことについて語っている。
「ビートル・サウンド」と呼ばれているビートルズの音楽だが、ジョンはそのサウンドについて以下のように説明している。
ビートルズの場合、誰が歌うかは誰が書いたかで決まるんだ。全員で歌ってる場合、たとえば“オクトパス・ガーデン”はリード・ボーカルがリンゴで後の3人がハーモニーで参加してるけど、それは曲を書いたのがリンゴで残りの3人がアレンジを手伝ったからだ。
でも誰が書いても最後には一つにまとまるという、謎の要素、特性っていうのが俺たちの曲にはあるらしくて、それが「ビートル・ミュージック」って呼ばれてるものなんだと思うよ。
また、バンドにはまだ方向性が存在しているのかという問に対して、ジョンは以下のように語った。
(中略)方向性なんて持ったこともないし。その時その時に限界を押し広げようとしてるメンバーに従ってただけでね。ていうか、全員が同じ場所を押してることが多かったけど、「これがバンドの方向性だ!」みたいなのは一切なかった。ただ俺たちに言わせれば今回のアルバムは『ホワイト・アルバム』よりもビートルズっていうバンドの色が出てるんじゃないかと思う。
『ホワイト・アルバム』の時は「俺のこの曲はこういうふうにやる、お前のこの曲はこんなふうにやる」って完全に分断化されてたからね。
すでにメンバーそれぞれがソロ・アルバムや別の活動をしていたビートルズだが、彼らがアルバムを作ろうと思いつくのは一体どんな時なのか。「曲がたくさんある」ことを理由のひとつにあげながら、ジョンは以下のように答えている。
(中略)俺とポールとジョージの3人がそのほとんどを書いてるわけだけど、3人分の音楽を1枚のアルバムに収めるのは並大抵のことじゃない。「ダブル・アルバム」を作ったのもそれが理由で、とにかく楽曲の量が半端ないんだ。
でも毎回2枚組をリリースするのは大変だし、時間も相当かかるから、多分プラスティック・オノ・バンドみたいな他のプロジェクトを、受け皿にすることになるんじゃないかな。大量の楽曲で便秘を起こしてるのも同然の状態だから、そうやって分割処分していかないとね。
俺たちはアルバムってものに対して何の考えもコンセプトも持ち合わせてない。ポールはいろいろ考えるところがあるみたいで、試したりもしてるけど。今回あのメドレーを思いついたようにね。でも俺は、アルバムの構想だのコンセプトだのに興味はないし、それをショウに仕立てたいとも思わない。自然の流れに任せるのが好きなんだ。俺としては、ロック・ソングを14曲入れられればそれで満足なんだよ。
特集ではこのほかにも、アルバム『トミー』についてザ・フーのピート・タウンゼントが語ったインタビューや、この年に開催されロック・フェスの原点となったウッドストック・フェスティバル、「アメリカン・ニューシネマ」の名作とされる映画『イージーライダー』に関する記事など、1969年を語る上で外すことのできないトピックも掲載している。
「ロックのビッグバン」が起こった年、1969年とは一体どんな年だったのか。ここでは紹介しきれない特集の全容は『ロッキング・オン』7月号にて確認してほしい。
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