【ビーフの歴史】ドレイクとプシャ・Tのいざこざの経緯をおさらい。プシャの『DAYTONA』で再燃し、ドレイクが10万ドルを請求するまで

【ビーフの歴史】ドレイクとプシャ・Tのいざこざの経緯をおさらい。プシャの『DAYTONA』で再燃し、ドレイクが10万ドルを請求するまで

6月に新作『Scorpion』をリリースすることを明らかにしているドレイクだが、かねてからディス合戦を続けてきたプシャ・Tとのいざこざが再燃している。

ドレイクとプシャ・Tは2010年代に入ってから特にレコーディングを通してのディスの応酬を続けており、ドレイクは前作『モア・ライフ』で、直接は言及していないものの歌詞の中で「またなにか言ってこようものなら完膚なきまでに叩きのめす」と触れていた。

本記事では、そんなドレイクとプシャ・Tのビーフ(いざこざ)の歴史を順を追って振り返っていく。

ビーフの発端は、プシャ・Tが2012年にリリースした“Exodus 23:1”だ。実際のストリートライフを経験した自分たちのようなギャング上がりと、口だけのギャング「もどき」のラッパーとを一緒にするなという内容のこのトラックは、実は2000年代に入ってプシャ・Tとディス合戦を続けていたリル・ウェインらに向けられた当てつけだった。


リル・ウェインはこれに対し、Twitterで応酬した上で徹頭徹尾プシャ・Tをディスしまくり、「ギャングを投入してお前を八つ裂きにする」という内容の“Goulish”をリリースした。
https://www.youtube.com/watch?v=AxrGODH9ppA

さらに、レーベル・メイトでありリル・ウェインの後輩のドレイクも、『Nothing Was the Same』でプシャ・T的なゴロツキ武勇伝をひけらかすラッパーへの嫌悪感と軽蔑を露わにした表現をいくつも投入。この後、ディスの応酬が今度はプシャ・Tとドレイクの間でも展開されるようになったのだ。

もともとドレイクは俳優からラッパーに転じたためストリートライフを自身の作風の売りにしたことはなく、そこが「本物」ではないと揶揄されることも多い。さらにその卓越したリリックについても、ミーク・ミルらのラッパーが実はドレイクはゴーストライターを雇っている、などと吹聴するようになり、これがドレイクへのディスのひとつのパターンに。キッド・カディやプシャ・Tも同じ言いがかりをドレイクに向けることになった。

その代表的な曲が、プシャ・Tの“H.G.T.V.”である。


これに対してドレイクは2016年に“Two Birds, One Stone”で応酬し、プシャ・Tが自分の作品で紹介するストリートライフや、ドラッグの売人というストーリーそのものへの疑問を投げかけた。ドレイクはこのトラックで、せいぜい大麻の売買をしていたくらいで密売組織を仕切っていたかのような顔をするなと片付けてみせているのだ。

さらにそれだけの過去を持つ器であればアーティストとしての数字にも反映されるはずで、プシャ・T程度のセールスではとてもそんな過去が現実にあったとは言えないはずだ、と一笑に付している。

そして今回、このドレイクの“Two Birds, One Stone”へのアンサーとして発表されたのが、今月リリースされたプシャの新作『DAYTONA』に収録された“Infrared”だ。

このトラックの中でプシャは、トランプが真の意味では選挙に勝っていないように、ドレイクの歌詞もまたクエンティン・ミラーというゴーストライターによって書かれたものだと、またしてもドレイクのゴーストライターに関連したディスを披露している。



ドレイクはこれに即座に反応し、SoundCloudで“Duppy Freestyle”を公開。ここで徹底してプシャの人気の凋落ぶりを指摘し、ここにきてゴーストライターの言い掛かりを蒸し返すのはそのせいかと一蹴してみせている。

なお歌詞にはカニエ・ウェストも登場するが、それはプシャがカニエのグッド・ミュージックの契約アーティストで、なおかつプシャはグッド・ミュージックの社長も兼務しているから。



カニエともコラボレーションをしているドレイクは、特にカニエに敵意を向けているというわけではない。ただ、カニエもゴーストライターの存在の言い掛かりをつけられたことがあり、自分にその言い掛かりをつけるのなら、『DAYTONA』をまるまる手がけたカニエについては実際のところどう思っているのか、と詰め寄るために引き合いに出されているのだ。

そしてこの“Duppy Freestyle”に対し、プシャは先日さらなるアンサーとして“Song of Adidon”をリリース。これはドレイクへの直接の返答ではなく、ドレイクにはポルノ女優との隠し子がいるなど、両親やドレイクに近い人物への誹謗中傷を並べ立てるという内容になっている。中にはドレイクのプロデューサーとして知られ、多発性硬化症を患っている40(Noah Shebib)の病状について揶揄するものまで含まれている。



さらにプシャは、“Song of Adidon”のアートワークにかつてのドレイクの写真を使っている。この写真はドレイクが自分の顔にわざわざ黒人を模した黒塗りのメイクをしたもので、大きな話題を呼ぶこととなった。普通なら差別的なメイクだと敬遠される肌の黒塗りをドレイク本人がやっていたのだ、という当てつけだが、ドレイクはこれに対し、この写真は自分の役者時代のものだと説明している。

ドレイクの説明によると、役に恵まれない黒人の俳優はどんな差別的な仕事も請けなければ食べていけない、という状況を写真として表現したものなのだとか。写真はデヴィッド・リーズというカメラマンが撮影したものが流用されたもので、リーズの要請によりすでにアートワークからは取り下げられているようだ。

こうした一連のプシャの行状についてドレイクは、“Duppy Freestyle”の歌詞の中でも指摘していた通り、人気が低迷しているプシャがドレイクの人気にあやかって話題作りをするのに必死なのだと一蹴。プシャが“Song of Adidon”を公開すると、話題作りのために掛かった費用を請求すると表明した。

実際にドレイクのレーベルOVOが発行した請求書の画像も公開し、その中で「プロモーション協力費ならびにキャリア再生費」として10万ドル(約1080万円)を請求してみせている。

「どういたしまして」
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