誰よりも誠実でどこまでも心の一番痛いところに寄り添ってくれなければWANIMAじゃない。
誰よりも全方位に向けてあらゆる人を包みこまなければWANIMAじゃない。
本人たちがそう決めているのかはわからないけれど、結果的にWANIMAはそれらすべてをクリアし続けていて、それが楽曲の圧倒的なオリジナリティにもなっている。
そしてライブのキャパシティがどれだけ大きくなっても、それらすべてをクリアする形を一生懸命考え、実現し続けている。
3万5千人集客(×2杯)のメットライフドーム公演も、この会場初だというアリーナスタンディングを実現させ、花道を通って客席の中心までステージそのものが船のように動いて大回転、さらに上手と下手それぞれにセカンドステージ、というありえないくらいの工夫によって、WANIMAの自由さと誠実さが全方位に届くドームライブが見事に形になっていた。
ライブハウスと同じように全身でWANIMAのライブを楽しみたい人も、自分にとって大切なWANIMAの歌のメッセージをしっかり噛みしめたい人も(個人的には“りんどう”という新曲のメッセージが本当に心の深いところに沁みた)、年齢関係なくときには家族でWANIMAを楽しみたい人も、いろんなネタも含めてメンバーのキャラクターが大好きだという人も、みんな大満足だったんじゃないだろうか。
そんな工夫を重ねながら、ペースもテンションも全く落とすことなく突っ走り続けている3人。
さすがに葛藤も苦悩もないとは思えない。
でも、そんな姿は決して見せないところも本当にカッコよくて、惚れ直さずにはいられなかった。(古河晋)