【ロッキング・オンを読む】レディオヘッド、NY公演を観た!【全文公開】

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4日間も観ると、さすがにその日によってバンドのモードは少しずつ違うのだと気付いた。まず初日は、これから4日間もここでライブをやるわけだから最初からつまずくわけにはいかない。これに敗けたら後はないとでもいうような、勝つために全力を出し切るようなライブだった。それに比べると2日目は、初日が勝てたので、少し落ち着いて残りの3回に挑む、というような内容に。

しかしセットリストを比べると、まずNYでの演奏は初で、『007』に採用されなかった“スペクター”が聴けたのが最高だった。トムが、「えっと、えっと、これは、“スペクター”という曲です」とたどたどしく紹介したのも良かったが、ピアノでトムが歌い上げた時に、その曲がもたらすエモーションが強烈だったのだ。この日は、初日にはやらなかった“ゼア・ゼア”が聴けたのもハイライトだ。さらに、「この曲は1998年に書いたもので、僕とジョニーは、どこかの砂漠を旅していたんだ。覚えてる? でもその時より今の方がぴったりとくるように思える」と言って歌い出したのは、“オプティミスティック”だった。「自分なりに最善を尽くすしかないんだ」と歌われる曲であり、正に、この最悪の現状を我々もそうやって打破するしかないのだ、と響いてきた。

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そして2日目を締め括ったのは、“カーマ・ポリス”だった。いつもそうだったが、この日も、〝This is what you’ll get〟のところでトムの代わりに観客が大合唱となっていた。つまり1日目と同じく、またしても大合唱での幕引きだったのだ。それにトムはこの曲をかつて「ボスに対する反発」とも説明していたから、やはり今を体現する曲なのだ。そして3日目の公演は、個人的にはこの4日間で最高だと思った。2日終わって筋肉が良い感じでほぐれ、しかし同時に最終日への勢いを付ける日でもあるため、のっけから最もアグレッシブで反抗的なエネルギーがあったのだ。

金曜日で観客のノリも良かった。象徴的だったのは、ちょうどイギリスを訪問していたアメリカ大統領についてコメントした場面だった。トムが、「君たちの輝かしきリーダーが、僕らの輝かしきリーダーに会い、バカを晒した。女王をバカにし、僕らの国をバカにした。あんな奴ファックだ!」とコメントし、会場が大大大喝采となったのだ。それに続けて本編の最後の曲“ミクサマトーシス”が演奏され、カオスの饗宴のように踊りまくって終了した。さらにこの日の最後も、再び“ザ・ベンズ”だったのだ!

そして最終日の4日目は、最後から2曲目に“オプティミスティック”を演奏し、そして“カーマ・ポリス”で締めた。しかも、演奏が終わった後、メンバーはステージから帰りかけているのにトムは一人で残り、観客の鳴り止まない歓声に合わせてアコギを再び演奏し始めた。そして、観客とトムが再び“カーマ・ポリス”を大合唱したのだ。トムが再び最後に熱唱し、ステージを去ったが、拍手は鳴り止まなかった。まさか2018年、レディオヘッドが、ギター・アンセムを4日間もアリーナで力一杯鳴らす日が来るとは!!!!

世界はまだ終わっていないかもしれない、と少しだけ希望が持てた。このモードを経た後に、どのような新作ができるのか。それもますます楽しみだ。

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4日間行われたマディソン・スクエア・ガーデン公演各日のセットリストは以下。

<2018.7.10>
1. DAYDREAMING
2. FUL STOP
3. MYXOMATOSIS
4. MORNING BELL
5. OPTIMISTIC
6. KID A
7. DECKS DARK
8. PYRAMID SONG
9. LET DOWN
10. BLOOM
11. THE NUMBERS
12. HOW TO DISAPPEAR COMPLETELY
13. RECKONER
14. LOTUS FLOWER
15. PARANOID ANDROID
16. IDIOTEQUE
17. NUDE
[encore]
18. PRESENT TENSE
19. WEIRD FISHES/ARPEGGI
20. THE GLOAMING
21. BODYSNATCHERS
22. THE TOURIST
[encore 2]
23. YOU AND WHOSE ARMY?
24. NO SURPRISES
25. THE BENDS

<2018.7.11>
1. DAYDREAMING
2. DESERT ISLAND DISK
3. FUL STOP
4. MYXOMATOSIS
5. 15 STEP
6. KID A
7. ALL I NEED
8. THE NATIONAL ANTHEM
9. THE GLOAMING
10. SPECTRE
11. YOU AND WHOSE ARMY?
12. BLOOM
13. IDENTIKIT
14. WEIRD FISHES/ARPEGGI
15. NO SURPRISES
16. THERE THERE
17. EVERYTHING IN ITS RIGHT PLACE
[encore]
18. OPTIMISTIC
19. NUDE
20. THE NUMBERS
21. LOTUS FLOWER
22. FAKE PLASTIC TREES
[encore 2]
23. IDIOTEQUE
24. EXIT MUSIC (FOR A FILM)
25. KARMA POLICE

<2018.7.13>
1. DAYDREAMING
2. DESERT ISLAND DISK
3. FUL STOP
4. 15 STEP
5. LUCKY
6. VIDEOTAPE
7. LIKE SPINNING PLATES
8. LET DOWN
9. CLIMBING UP THE WALLS
10. EVERYTHING IN ITS RIGHT PLACE
11. BLOOM
12. SEPARATOR
13. RECKONER
14. FAKE PLASTIC TREES
15. HOW TO DISAPPEAR COMPLETELY
16. KID A
17. MYXOMATOSIS
[encore]
18. AIRBAG
19. THE NATIONAL ANTHEM
20. THE GLOAMING
21. IDIOTEQUE
22. BODYSNATCHERS
[encore 2]
23. NUDE
24. PARANOID ANDROID
25. THE BENDS

<2018.7.14>
1. DAYDREAMING
2. DESERT ISLAND DISK
3. FUL STOP
4. 2 + 2 = 5
5. KID A
6. ALL I NEED
7. VIDEOTAPE
8. NO SURPRISES
9. BLOOM
10. EVERYTHING IN ITS RIGHT PLACE
11. LOTUS FLOWER
12. THE NUMBERS
13. WEIRD FISHES/ARPEGGI
14. SPECTRE
15. EXIT MUSIC (FOR A FILM)
16. THERE THERE
17. STREET SPIRIT (FADE OUT)
[encore]
18. IDIOTEQUE
19. HOUSE OF CARDS
20. PRESENT TENSE
21. BODYSNATCHERS
22. THE TOURIST
[encore 2]
23. GIVE UP THE GHOST
24. OPTIMISTIC
25. KARMA POLICE
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