ONE OK ROCK“Wasted Nights”が示す次なる音、次なるメッセージについて

既報の通り、9thアルバム『Eye of the Storm』のリリースを目前に控えたONE OK ROCKが、新たに“Wasted Nights”のミュージックビデオを公開(先行配信もスタート)した。
映画『キングダム』(4月19日より全国東宝系にて公開)の主題歌として書き下ろされた“Wasted Nights”。「映画の壮大さに負けないような曲を書いたつもりです」とTaka(Vo)もコメントを寄せていた通り、劇的進化作『Eye of the Storm』の中でもひときわ雄大なスケール感を備えたナンバーだ。


いち早く公開されていた“Stand Out Fit In”のMVでは、「グローバルな環境に生きる孤独とそれを乗り越える意志」を具現化したストーリーを、映画字幕風のテロップで表示される歌詞和訳と密接に重ね合わせてみせたONE OK ROCK。
一方、今回の“Wasted Nights”のMVでは、メンバーの演奏シーンを青春群像的なイメージとカットアップさせる中から《Don’t be afraid to dive/何もせずはもっと怖い》といったONE OK ROCKの「今」のメッセージを浮かび上がらせている。

『Ambitions』で、激しいギターサウンドにプロダクションが入って、メロディアスでっていうところのONE OK ROCKは、1回終わったんですよね。(中略)たぶん今頃日本で同じようなことをやっていたら、僕は燃え尽き症候群になって、自分の人生を見つめ直したくなっていたと思うんです


現在発売中の『ROCKIN’ON JAPAN』3月号の巻頭特集に掲載されているインタビューでTakaは、願望ではなく現実として世界を見据えて闘い続ける想いをそんなふうに赤裸々に語っている。
さらに、「アーティストとして曲を作ったっていうよりも、作家として曲を作ったっていう印象のほうが、今回は強いかな」という発言からは、複数のソングライター/プロデューサーとともにメロディのアイデアを出し合って楽曲をブラッシュアップしていく、という『Ambitions』以降のONE OK ROCKの(そしてアメリカのヒットチャートでは今や主流の)作曲スタイルが新たなフェーズに入ったことが生々しく伝わってくる。

幾多の成功体験が存在するロックというサウンドフォーマットに固執することなく、より壮大でダイナミックな未知の音の地平を切り開くために、臆することなく自分自身を変革していく――。そんなONE OK ROCKのアティテュードは他でもない、2019年という時代を刷新するロックそのものだ。“Wasted Nights”の目映く磨き抜かれたサウンドスケープは、まさにその証である。(高橋智樹)

『Eye of the Storm』2月13日発売