同レポートによると、現地時間6月3日より行われる「WWDC 2019」(Appleが毎年開催しているカンファレンス)にて、Appleが今後行うOSのアップデート、そしてアプリへの新たなアプローチを発表。ハードウェア志向からソフトウェア志向への転換を示すことになるという。
さらにMac向けに「Music」、「TV」、「Podcasts」という3つの新アプリが配信され、iTunesに置き換わると報じた。
この報道を受けて、「The Guardian」がiTunesの歴史をまとめている。
2001年1月9日に発表されたiTunesはスティーブ・ジョブズによる当時としては画期的な音楽ストレージ兼ダウンロードのプラットフォームであり、ユーザーが自分のCDをデジタル化するだけでなく、iTunesよりも2年早くスタートし人気を博した、ユーザー同士でファイル共有するNapsterなどのサイトの代わりに、合法的にアルバムを購入することを可能にした。
元ワーナーミュージック副社長のPaul Vidichは2013年に「Rolling Stone」のインタビューで次のように話していた。
Napsterの魅力は、単に無料というだけでなく、より重要だったのは、あらゆる音楽にアクセスする手段を与えたことだった。スティーブがiTunesでやったのは、そういった種類の経験を再現すること、つまり便利なインターフェース上で莫大なカタログにアクセスでき、曲単位で買えることでした。そしてNapsterよりも簡単にできる必要があったのです。
しかしiTunesとそのダウンロード方式は、ストリーミング方式を導入したSpotifyをはじめとする各サービスの登場により、すぐに時代遅れとなってしまったという。
iTunesにはまだ未来があるように思えた時期もあった。2013年12月、ビヨンセが自らの名前を冠した5作目のアルバム『ビヨンセ』をサプライズでリリースし、iTunesストアでの売上が発売数日で82万8773枚を記録、iTunes Storeの新記録となった。
ビヨンセは「これまでのやり方で自分の音楽をリリースしたくなかった。もう飽きてしまったの。私は自分のファンに直接語りかけることができると感じてる」と語ったという。
2014年、5億人のユーザーのiTunesアカウントにU2のアルバム『ソングス・オブ・イノセンス』が自動的に追加されるというPR活動が行なわれたが、これに対しユーザーからは自身のデバイスに追加するかどうかの選択肢がないと苦情の声が上がり、この宣伝は裏目に出てしまった。一ヶ月後、U2のボノがこの件を謝罪した。
iTunes終焉を予兆するように2015年にはApple Musicが始動、iTunesは2020年までには消滅するのではないかとの噂が流れたという。
Spotifyと類似したストリーミング・サービスであるApple Musicは、ダウンロード方式から離れるという合図であり、これと同時にAppleのラジオ・サービスも開始、ゼイン・ロウ、ドレイク、ルイ・ヴィトンのメンズ・アーティスティック・ディレクターであるヴァージル・アブロー、さらにはニッキー・ミナージュやエルトン・ジョンといったアーティストがDJを務める各番組がレギュラー放送されている。
なお、Appleからは正式な発表は行われておらず、「WWDC 2019」の開催が待たれている。