UVERworldが貫いてきた6人であることの信念=「SIX PRIDE」の正体とは?

UVERworldが貫いてきた6人であることの信念=「SIX PRIDE」の正体とは?
目下、宮城と大阪でそれぞれ2DAYSのライブを繰り広げ、今後は東京ドーム2DAYS(うち12月20日は史上空前の規模となる「男祭り」)や「男祭りvs女祭り」再来となる横浜アリーナでの「TAKUYA∞生誕祭」、神戸でのクリスマスライブ2DAYSに、2019年を締めくくる福岡2DAYSまで、どこがハイライトなんだか分からない怒涛のスケジュールを駆け抜けてゆく「UVERworld UNSER TOUR」。12月4日にリリースされたニューアルバム『UNSER』は、ビートミュージックやEDMといった最新ポップフォーミュラを血肉化するという点で、ここ数年の彼らの音楽的トライアルを完璧に結実させた大傑作である。世界にも類を見ない、破格の斬新さとスケール感を兼ね備えたロックアルバムと言えるだろう。UVERworldが表紙で現在発売中の『ROCKIN’ON JAPAN』2020年1月号のインタビューでは、深く信頼し合う仲間同士だからこそ互いを追い込むことのできる、極めてスリリングな『UNSER』制作風景が語られている。

故郷・滋賀で幼少期からの馴染みだった仲間たちが、ポップ/ロックミュージックの歴史と世界地図を書き換えてしまうこと。そこには強烈なロマンを感じる。音楽を仲間たちの絆で読み解こうとするなんてのは、余りにも青臭く、また古臭い価値観に思えるかもしれない。しかし、UVERworldには、どうしても無視することのできない「6人」の物語が確かにある。今回のテキストで振り返っておきたいのは、それである。

フロントマン/メインソングライターとしての強烈なカリスマ性を発揮するTAKUYA∞(Vo・Programming)。刺激的なギター音響を駆使しつつ、楽曲制作やライブの場面で重要な舵取りも受け持つリーダー・克哉(G)。暴れ回るベースフレーズと同じくらい、視覚的にも派手なアクションでライブの爆発力をリードする信人(B)。奥行きのある同期サウンドを制御する一方で、ソウルフルなサックス演奏という必殺の飛び道具を持つ誠果(Sax・Manipulator)。直感的な感情表現とテクニックを兼ね備えた彰(G・Programming)は誰もが認めるUVERworldのギターヒーローであり、真太郎(Dr)はリズム/グルーヴの屋台骨をしなやかに叩き出しながら、バンド最後方でMCも担当する。

一見、鉄壁に見えるメンバー構成ではあるが、UVERworldの物語にはその始まりから「欠落」があった。例えば、4作目のアルバム『AwakEVE』に収録された“earthy world”には、そもそもツインボーカル体制だった前身バンドでもう一人のボーカリストが脱退したときの思いが歌詞に綴られている。また、有名なのは、誠果がデビュー時から長らくサポートメンバーとして活動しなければならなかった事実で、彼はその間にマニピュレーションの知識と技術を培ってきた。シングル『NO.1』および6作目のフルアルバム『LIFE 6 SENSE』収録曲“6つの風”(タイトルにも「6」への強いこだわりを感じさせる)では、《Blow》というフレーズが「サックスをブロウする6人目のメンバー」の存在を暗喩するようだ。また2011年リリースのシングル曲“BABY BORN & GO”では冒頭から痛快なサックスフレーズがリフレインする中《此処にいるのは演奏者6人俺らと/これを聴く お前合わせれば7人だ》と歌われている。

2014年、デビュー10周年を目前に誠果は晴れてUVERworldの正式メンバーとなった。その後リリースされたアルバム『Ø CHOIR』収録の“誰が言った”の中で、TAKUYA∞は猛烈な勢いで《そしてあれを言ったのは誰だ?/『一人減らしてデビューさせろ』》とまくし立てている。2017年リリースのアルバム『TYCOON』においても、“IDEAL REALITY”は直後のツアータイトルに用いられ、華やかなサックスが響き渡る中で《理想という現実へ 6人で立てた誓い》と歌い出されている。「6人でデビューできなかった」というシビアな現実は、UVERworldの抱く反骨精神と混ざり合いながら強烈な動機付けとなり、いくつもの楽曲として実を結び、現在への道を作ってきたと言えるだろう。

《すでに終わっている音楽業界?/もう終わっているロックバンド自体?/ならなんで毎日こんなに俺達は楽しいんだよ?》。ロックサウンドを大胆に刷新した傑作『UNSER』の“無意味になる夜”では、そんなふうに歌われている。最初から世に名を轟かせていたミュージシャンが集まったバンドではない。誰かに言われた通りに活動してきたわけでもない。6人が切磋琢磨し、前例のないイメージをどうにか共有し、音に刻みつけ、そして多くの人を駆り立てながら最高に熱く華やかなテン年代の終わりを駆け抜けていること。ロックバンドの化学反応だとか何だとか、一口に言ってしまうのは簡単だ。しかしそれは、生身の人間同士の飽くなき忍耐と努力、人格までむき出しの真剣なぶつかり合いの積み重ねによって、成り立っているものなのだ。(小池宏和)
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