朝ドラ『スカーレット』と主題歌のSuperfly“フレア”が灯す愛と希望について

近頃NHK・朝の連続テレビ小説『スカーレット』に釘付けだ。物語は現在第13週、中盤に差し掛かってきた頃。
戸田恵梨香演じるヒロイン・川原喜美子のまっすぐで一生懸命な姿には好感しかないし、脇を固める個性豊かな登場人物たちとの掛け合いも楽しい。特に喜美子の夫となる十代田八郎(松下洸平)の素朴でまじめながら、深い愛情を惜しみなく表現する魅力的な人柄に病みつきになる視聴者が続出、Twitterで一時「#八郎沼」がトレンド入りしたほど。

特におおよそこの1ヶ月をたっぷりと使って届けられた喜美子と八郎の結婚までの道のりは実に素晴らしかった。いやもう、こんなにも丁寧に、人が人を好きになる過程を描いた朝ドラがこれまであっただろうか。陶芸を通じて少しずつ距離を詰めていく2人の触れ合いにどきどきが止まらなかった。「キスはいつするんやろ?」のシーンでは、筆者も漏れなく息を呑み、変な声が出ました(笑)。
喜美子と八郎、2人きりの会話を軸にしたやり取りには決して派手さはないのだけど、何気ない会話を大切に重ね合う姿が胸の奥まで染みるのだ。愛はこうやって、静かに積み上がって気付いたら大きくなっているんだな、と。それこそ、炎が灯るように。

主題歌のSuperfly“フレア”も、物語を鮮やかに彩っている。タイトルの通り、この物語の重要なモチーフである「炎」をテーマに書き下ろされた楽曲だ。物語が進むほどに、いっそう強くドラマと溶け合っていくのが素晴らしい。「炎」というと燃え上がる激しさを連想しがちだけれど、それだけでなく、『スカーレット』で描かれるのは、はじめは小さく灯った火を大事に守って燃やしていく情景だ。それは喜美子と八郎の愛や未来もそうだし、陶芸への情熱や家族への想いなど、『スカーレット』が紡ぐすべての物語に共通して寄り添うイメージといえるかもしれない。

《涙が降れば きっと消えてしまう/揺らぐ残り火 どうかここにいて》という歌い出しでは、これまで困難が訪れたときも、自分の胸にある確かな炎を守った喜美子の姿が浮かぶ。越智志帆の伸びやかな歌声が羽ばたく《日々 恋をして 胸を焦がしたい》というサビには、単純に恋愛のことだけでなく、物語の中で喜美子に灯ったときめきや憧れを想起させられる。炎の揺らめきや吹き上がる火の粉を表現したような軽快なリズムに心あたたまるメロディが乗り、私たち視聴者の日常にも、前向きな気持ちを与えてくれているように思う。

しかしながら物語はまだまだ中盤、喜美子と八郎の関係も少しずつ変化している。今週すでにその予兆が感じられるが、この後さらなる試練が待っているのが「朝ドラ」というもの。“フレア”のBメロの切ないメロディを聴いているとそれを予感して胸が苦しくなってしまうのだけど、その先に繋がる晴れやかなサビのように、希望に満ちた結末を期待している。(徳永留依子)
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