そんな彼女たちが2月19日(水)にリリースする4thシングルの表題曲“ソンナコトナイヨ”は、日向坂46らしいポジティブなナンバーに仕上がっている。前髪を切りすぎて落ち込んでいる女の子を励ます歌詞から伝わってくるのは「誰かと比べなくてもあなただけの魅力がある」というメッセージ。自分たちだけの色をなかなか見出せずにいた下積み時代を経て、ようやく「空色」というオリジナルカラーを確立させた今の彼女たちが歌うからこそ、そのメッセージには言葉以上の説得力が宿っている。
そして、同シングルに収録されるカップリング曲“青春の馬”もまた、日向坂46の歩みを踏まえて聴くことでリアリティが生まれる応援ソングだ。日向坂46といえば、聴く人にハッピーを届ける「ハッピーオーラ」が最大の武器であり、一般的には“キュン”や“ドレミソラシド”といった王道アイドルソングのイメージが強いかもしれない。しかし、その原点にあるのは、前身グループ・けやき坂46(ひらがなけやき)時代に培ったどんな逆境にも折れない心。だからむしろ“青春の馬”のMVに映し出されている真っすぐな眼差しや、拳を固く握り激しく腕を振るダンスの力強さこそ、彼女たちの真の姿と言えよう。今回の振り付けはTAKAHIROが担当したこともあり、欅坂46イズムの継承も感じさせるけれど、そのイズムはすでに日向坂46ならではの魅力として昇華されている。ひらがなけやきはいつだって逆境と闘ってきたグループだったが、日向坂46として生まれ変わったことでひとつ大きな壁を乗り越えた。そこで手にした自信と彼女たちならではのキュートさがミックスされた振り付けは、今の日向坂46にしか出せない力強さがあり、ひらがなけやき時代の力強さとはまた別物だ。
曲の最後に放たれる≪The easy way has no meaning≫という言葉は直訳すると「楽な道に意味はない」となり、何よりもメンバー自身がそれを証明している。誰かの背中を追うことより、自分たちだけの魅力を探し求める方へ舵を切った結果、今の日向坂46の快進撃がある。そんなストーリーがなかったら、このフレーズに含まれる意味や重さは全く違うものになったはず。つまり日向坂46の表現とは、彼女たちの歩みそのものなのなのだ。時にメンバー同士で励まし合いながら逆境を前進するパワーに変えてきた彼女たちの歩みは、卒業メンバーも含め全員で積み重ねてきたもので、そのピースが1つでも欠けていたら絶対に今の形にはならなかった。“青春の馬”という作品は、そんな日向坂46の表現が他の誰にも真似出来ないものであることを強く実感させてくれる。(渡邉満理奈)