Z世代の「なんとなくメロウ」から生まれた、恐るべき普遍性――ミックステープだけでUKチャートを席巻するイージー・ライフ、アルバムでの大ブレイク必至!

Z世代の「なんとなくメロウ」から生まれた、恐るべき普遍性――ミックステープだけでUKチャートを席巻するイージー・ライフ、アルバムでの大ブレイク必至! - 『rockin'on』2021年3月号より『rockin'on』2021年3月号より

今年も多くの有望なUK新人のデビュー・アルバムが予定されているが、中でも最注目すべきはついにリリースされるイージー・ライフ待望のデビュー・アルバムだろう。新人とは言え、昨年の『ジャンク・フード』はミックステープにもかかわらずUKチャート7位にエントリー(ヴァイナル部門では見事1位!)と既に彼らを取り巻くバズは過熱気味で、あとはアルバムでの大ブレイクを待つだけの状況なのだ。

イージー・ライフはいわゆるインディR&Bをやっているグループで、ヒップホップやジャズ、レゲエ、アフロ・ポップにインディ・ギターまで取り込んだ脱力系のメロウ・ポップが大きな魅力。クロスオーバーと言っても(ブラック・ミディを筆頭とするSpeedy Wunderground一派のような)フリーキーな構築系のそれではなく、色とりどりのサウンドがふんわり漂うヌケのある空間を作るのが恐ろしく巧みなタイプだ。彼らはそこで鼻歌の延長みたいなメロディ、寝起きのマイク・スキナーみたいなラップに乗せて不眠症の夜を告白し、今月の家賃が払えない現実を歌い、温暖化で枯れゆく地球に自分たちの未来を重ねてみせる。「なんとなくメロウ」がZ世代のムードとなって久しいが、イージー・ライフの曲を聴いていると、彼らが作り上げる空間とはそんなムードを共有する1人1人がポツリ、ポツリと点在する場所だと感じるはずだ。

昨年10月にはデビュー・アルバムからの先行シングルとして“Daydreams”をリリース、アレサ・フランクリンの“デイ・ドリーミング”にオマージュを捧げた極上のチル・チューンに仕上がっていた。「(2020年は)ほとんどの人がそうだったように、俺にとってもずっと白日夢の中で漂っていた1年だったんだよ。別の現実があったんじゃないか……って夢見てたってわけ」とボーカルのマレーが語るように、ステイ・ホームの退屈と怠惰の日々から生まれた “Daydreams”は、あの時期に誰もが経験しただろう世界から隔絶される不安と巣篭もりの平穏、その狭間を淡いトーンで見事に描き出している。コロナ禍の真っ只中で制作されたイージー・ライフのデビュー・アルバムが、2021年の私たちに寄り添うサウンドトラックになるのは間違いなさそうだ。 (粉川しの)



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