歴史の節目に蘇る、フレディ・マーキュリー最後の輝き――『クイーン:ブダペスト』がスクリーンで蘇る

歴史の節目に蘇る、フレディ・マーキュリー最後の輝き――『クイーン:ブダペスト』がスクリーンで蘇る
偶然か、それとも必然か。長い時間経過の中で、さまざまな節目が重なり合うことがあるが、2026年はクイーンにとってまさにそんな年にあたる。フレディ・マーキュリーは、存命であればこの9月5日には80回目の誕生日を迎えていた。そして11月には彼の他界から満35年となる。さらに歴史と照らし合わせてみると、ジョン・ディーコンの加入によりクイーンが正式始動した瞬間から55年が経過し、『華麗なるレース』と『カインド・オブ・マジック』がそれぞれ発売50周年、40周年を迎えているのだ。そんな今、ロジャー・テイラーの新作アルバムが登場し、マイケル・ジャクソンの自伝的映画『Michael/マイケル』の大ヒットに伴い、映画『ボヘミアン・ラプソディ』の打ち立てた大記録にふたたび注目が集まっていたりもする事実も興味深い。40年前の夏、クイーンは大規模な『マジック・ツアー』で欧州各地のスタジアムを回っていたが、それが生前のフレディにとって最後のツアーとなった。『ライブ・エイド』での伝説的パフォーマンスの翌年にあたるこの時期、心身ともに充実した状態にあった彼のパフォーマンスは、非の打ちどころのない完成度を誇っていた。それを裏付ける物証としてよく知られているのがハンガリーの首都ブダペストで行なわれた同ツアーでの公演の模様が収められた映像作品だが、このたび同作品に初めて4KレストアとドルビーアトモスMixが施され、『クイーン:ブダペスト』として映像的にも音像的にも過去最高の状態で再登場することになった。しかも10月30日のフィジカルリリースに先駆けて劇場公開も決定している。元々35㎜フィルムで劇場用作品として撮られているこの作品は、当時のクイーンの完璧さを伝えるのみならず、同公演を冷戦下の東欧共産圏で実施された一大イベントとして捉えたドキュメンタリー的な側面も持ち合わせており、ファンならずとも必見といえるものだ。さまざまなアニバーサリーが重なる時期は、歴史と向き合う好機でもある。そしてそこには、きっと新たな発見も伴ってくるに違いない。 (増田勇一)
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