the HIATUS、2020年に行ったジャズクラブツアーの写真集上下巻発売

『「2020 Jive Turkey vol. 4-5 COVID-19 Edition-1」Series 52 Shots volume 24』
『「2020 Jive Turkey vol. 4-5 COVID-19 Edition-2」Series 52 Shots volume 25』
the HIATUSの2020年をまとめた写真集が、上下巻セットで発売される。

写真集は、写真販売サイトShowcase Printsにて完全受注で制作されるとのことで、今回は通常価格での販売と別に、寄付金も募っているという。内容は、ライブ写真家の三吉ツカサが撮影した、2019年12月から2020年1月にかけて行われた「Jive Turkey vol. 4」、同年末に開催された「Jive Turkey vol. 5」の写真を中心に、リハーサルやオフショット、11月に唯一通常セットで行うことができた「S60 & Xmas Eileen DJ presents『ZASSO.』」での様子も収められた上下巻の写真集となる。なお、受注期間は本日4月22日(木)から5月6日(木)24時までとなっており、商品の発送は5月下旬を予定しているという。


【三吉ツカサ コメント】
ライブ写真家の三吉ツカサです。
自分の肩書が本当にこれで合っているのか、自分でもわからなくなる日々。ライブがなくなって楽しみが消えてしまった人は本当に多いと思うけれど、僕の場合は撮る場所と撮る対象がなくなって、そのまま自分の存在ごと消えてしまったような気分になりました。
コロナが僕の仕事の95%を奪っていきました。バンドも、スタッフも、もちろんライブハウスも大変です。わかっていても具体的な援助ができないのは、いまの僕もまた、かなりのピンチに陥っているから。状況はいつか必ず良くなると信じているけれど、いつかを待っていても僕の肩書や居場所はなかなか戻ってきてはくれません。客席最前列とステージの間、あの1メートルほどの空間で僕は生きていた。すぐ傍にいたみなさんの息遣いをリアルに感じながら。

the HIATUSのツアーに単身で同行し、ひとつのストーリーを作り上げる。今までの僕はこれを生業としてきました。僕はギャラをもらってスチール撮影をしているわけではありません。そのかわりに、撮影した写真を写真集にして販売させてもらって、お金を産むという工夫を自分なりに考えてやってきました。
具体的には、ギャラをもらわない代わりに、ライブ写真のプリントや写真集を売ることを許可してもらう。肖像権や権利の問題などややこしい大人の話を抜きにして、撮った写真は僕の自由に販売させてもらう。「お前の写真ならどうしてもらってもいい」。この信頼関係で僕は自分の居場所を作ってきました。契約書のない話に保証はなく、もちろんライブがなければ何も動かない。このままの状況が続くことは、無、を意味します。

2020年1月に行われたJive Turkey vol.4と、同年末のJive Turkey vol.5。新型コロナウイルスの足音が迫っていた時期と、規制と混乱の渦中でなんとか公演を行った時期。その違いは、僕のカメラにはっきりと写り込んでいました。ライブという場に臨み、人前に立つアーティストの気持ちの美しさ。それが僕らにとっていかに大切なものだったのか、写真に改めて教わりました。そして、当日あの場にいられなかった人にも何かを届けられるのが写真なのだということを、自分で自覚してゾクゾクする気持ちになりました。
2本のツアーは上下巻の写真集になります。バンドの音楽が作らせたもの。関わるスタッフの気持ちが詰まったもの。みなさんの気持ちをあの日のあの場所に戻すもの。これは僕ひとりが作ったものではないので、みんなと一緒に作らせて欲しいと思いました。みんなと一緒に未来のあの場所に帰りたい、と。
今回、通常の値段とは別に、ひとり五千円の寄付を募ります。賛同してくれた方の名前はすべて写真集にクレジットします。みなさんにthe HIATUS写真集「制作者」になって欲しいのです。東北ライブハウス大作戦の木札のイメージ。みんなで作ったライブハウスがあるように、みんなで作った写真集があってもいい。2020年のthe HIATUSの記録を形にしてくれませんか
勝手なお願いをしているのは百も承知だし、もちろん今までどおりの価格で写真集を購入してもらうことも可能です。ただ、僕の活動を少しでも気にかけてくれる人がいれば、とても嬉しいし、ありがたいなと思っています。

ライブを撮影する写真家として、the HIATUSを一番近くで見てきたひとりとして、すべては写真でお返しします。これが僕の生業であり、誇りなのです。

2021年4月 三吉ツカサ