ジャングル、普遍のグルーヴを纏った3rd『ラヴィング・イン・ステレオ』と共に帰還――UKの新ディスコ番長が、再び世界のダンスフロアに熱気を取り戻す!


イギリス人プロデューサーのジョシュ・ロイドとトム・マクファーランドによるユニット、ジャングル。マーキュリー賞にノミネートされたデビュー作『ジャングル』、そして世界中で賞賛された前作『フォー・エヴァー』を経て、3枚目となるニュー・アルバム『ラヴィング・イン・ステレオ』が8月にリリースされる。

パンデミックの中スタジオに籠り制作された本アルバムは、そのタイトルが伝える通り、彼らの自由でオープンマインドな音楽愛で満ち溢れた1枚と言っていい。

70年代のファンクやディスコ、エレクトロ~ネオ・ソウルを軸に、アーバンなトラックと生演奏が織りなすジャングルのスタイル、多彩なダンス・グルーヴは変わらない。前作で導入された流麗なストリングス・アレンジメント、コーラスが彩るゴスペル・フィールも健在だが、とりわけ今作で耳を引くのは、“ロメオ”や“ジャスト・フライ・ドント・ウォーリー”で聴けるレゲエ/ダブのテイストやプロダクションだろうか。

また、その前者に参加したラッパーのバス(※FKJとのコラボも話題に)を始め、初となるフィーチャリング・ゲストが迎えられていることも大きなトピックだ。南インドのタミル人の血を引く気鋭のシンガー、プリヤ・ラグがシルキーなハスキー・ボイスで歌う“グッドバイ・マイ・ラブ”は今作の白眉に挙げたい。

そして前作に引き続き、旧友であるプロデューサーのインフローとの共作曲も収録。今やソーのメンバーとしても脚光を浴びるインフローだが、“トゥルース”はクラウトロックも思わせるモータリックなビートに乗せて高揚感を誘うナンバーだ。

「より生々しく、オープンで、面白く、刺激的なものにしたかった。だって音楽ってそういうもんだから」。ジョシュがそう語る今作は、このコロナ禍で失われたダンスフロアの熱気を思い起こさせるような、まさに音楽がもたらすポジティブなエネルギーに立ち返ったアルバムと呼ぶに相応わしい。「このレコードでは直感を信じて、信念を貫くことを学んだ」(トム)。次号では彼らのインタビューをお届けする。 (天井潤之介)



ジャングルの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

『rockin'on』2021年8月号