4月5日にニューヨークからアトムス・フォー・ピースを率いてソロ・ツアーに乗り出すトム・ヨーク。そのオープニング・アクトが、エレクトロニックかつサイケなビートや音像を鳴らすロスアンジェルスをベースに活動するプロデューサー、フライング・ロータス。
ファンの間では「フライロー」とも呼ばれているロータスは本名をスティーヴ・エリソンといって、ジャズ・ピアニストでジョン・コルトレーンの妻でもあったアリス・コルトレーンの血縁にも当たるという。
そもそも今回の起用はどういう経緯で実現したのかというと、実は「夢でそんなお告げがあった」とロータスはローリング・ストーン誌に説明していて、そもそもロータスとトムは誕生日も同じ10月7日だし、占星術的な兄弟なのだという。
先頃、テキサス州オースティンで行われたサウス・バイ・サウスウェストにも出演していたロータスは、自分のセットを破壊するという形でパフォーマンスを終えていたのだが、フェスから自宅に戻ると自分が殺人の共犯者になる夢を見たのだという。その夢の中で、人を殺した居心地の悪さからスーパーへ逃げ込むと、そこにトムが待っていて、「ビールとケチャップでもやろうぜ」と誘ってくれたのだとか。そして、目が覚めるとトムからツアーに同行してほしいというメールが届いていたのだという。
「ぼくとしてはむしろ作り話であってほしかったりもするんだよね」とロータスは説明する。「こういう変なことばっかりがよく起きるんだよ」
ふたりの間の馴れ初めは人の勧めもあって、ロータスがレディオヘッドの『イン・レインボウズ』の“レコナー”のリミックスを手がけたことに始まる。その打ち合わせが行われたのがなんと日本だったのだとか。ただ、その打ち合わせも事務的にすぐに終わったので、ロータスとしてはまさかその後、こんな展開になるとは思いもよらなかったという。
これまでの2枚の『1983』『Los Angeles』はどれも高い評価を得ていて、5月にワープからリリースされる『Cosmogramma』も大きな関心を引いている。