デンマークを代表するメタルバンド、ヴォルビートが9thアルバム『ゴッド・オブ・エンジェルズ・トラスト』を完成させた。前作『サーヴァント・オブ・ザ・マインド』以降、マイケル・ポールセン(Vo/G)はアズインヘルというオールドスクール系デスメタルのプロジェクトを立ち上げ、これまでの動きとは違う活動を挟むことで新鮮な感触を得たようだ。また、マイケルは喉の手術を行なったため、リハビリ期間も必要だった。それから徐々に喉の回復を待ち、いざヴォルビートの新作に取り掛かることができたのだ。まずは出来上がった今作について、どんな感想を抱いているのだろうか。
「それこそ聴いた瞬間、一発でヴォルビートだとわかる。お馴染みのヴォルビート感を強化しつつ、これまでにない新しい要素も導入してるから、まったく新しい作品のようにも感じられるよ」(マイケル、以下発言同)
そう、今作はヴォルビートらしさを濃くし、フレッシュな輝きをまとった作風と言えるだろう。バンドとしては10年間リードギターを務めた元アンスラックスのロブ・カッジアーノ(G)が 2023年6月に脱退、残ったメンバー3人で継続の道を選ぶ決断をした。そうしたタイミングも重なり、心機一転して再スタートというモードに切り替わったのだろう。
「今作は過去と現在が見事なバランスで融合したアルバムになってるんじゃないかな。今回は素材から何もかも一新してやろう!という意気込みだったからね。とりあえず、即興でガンガン演奏して、それを怒涛の勢いで片っ端から捌いていったんだ。それでもこれほど完成度の高い音に到達したのは、長年ミュージシャンとしてやってきた経験の賜物であり、これまで一緒に演奏してきた積み重ねがあるからこそなんだろうね。しかも、曲作りからリハーサルやレコーディングまで、ただひたすら楽しかったんだ。これだけ長いことやっているにもかかわらず、いまだに心から楽しい!という感覚を実感できたからね」
自信満々の発言からも、今作の充実ぶりが伝わるだろう。本誌インタビューでは楽曲と歌詞の両面から踏み込んで話を聞いている。とにかく、ファンならば歓喜のアルバムと言える内容であり、初めて聴く人にとっては最上の出会いをもたらす作品になることは間違いない。(荒金良介)
ヴォルビートの記事が掲載されるロッキング・オン7月号