トム・ウェイツ、写真家マイケル・オブライエンとのコラボで詩集を刊行

1973年作 『クロージング・タイム』

トム・ウェイツが11年の3月に詩集を刊行する。『Hard Ground』(硬い地面)と題されたこの詩集は写真家のマイケル・オブライエンとのコラボレーションによるもので、ホームレスの人々を題材にしたオブライエンの写真の数々とトムの詩を収録した内容になる。作品は「硬い地面の上で生きる」人々の写真とトムの言葉とを合わせて、ホームレスという状態や生き方を描いた内容になっているとトゥウェンティフォービットは伝えている。

アルバムはすでに20枚以上発表し、数知れないほど映画にも出演を繰り返してきたトムだが、文学作品の刊行は今回が初めてのことで、本人もこれまでにミュージシャンとしてより詩人として語られてしまうことへの嫌悪感を何度か表明してきた。75年にトムが答えたインタビューでトムは「詩人というのは非常に危うい言葉だよ」と語り、次のようにつけ加えている。「詩人と呼ばれてしまうことでつきまとう汚点が俺は嫌だな」。

この作品は41年に刊行された作家ジェイムス・エイジーと写真家ウォーカー・エヴァンスの共作にして名著『Let Us Now Praise Famous Men』をモデルにしていて、こちらも写真と詩を組み合わせた作品だった。ただ、こちらの本はアメリカの大恐慌時代に社会の底辺に生きることを強いられていた農民の姿を捉えたものだった。

また、トムとオブライエンのコラボレーションもこれに始まったことではなく、オブライエンはトムのキャリアを通して何度もトムを被写体として撮ってきている。最近の仕事にはトムの最新作『グリッター・アンド・ドゥーム・ライヴ』のジャケット写真などがある。

『Hard Ground』は11年3月にテキサス州立大学出版会から刊行される。