トム・ウェイツ、10年ぶりに日本への想いを語る。キース・リチャーズとレッチリのフリーについても語る
2011.11.10 23:15
1973年のデビュー以来、グラミー受賞2作を含む20枚以上の作品を発表、舞台音楽の制作や俳優活動も行う孤高の音楽詩人、トム・ウェイツ。今年「ロックの殿堂」入りを果たした際の授賞式スピーチでも「私は気むずかしくて仕事がしづらい」と語ったとおりメディア嫌いでも知られる彼だが、10年ぶりに日本からのインタヴューに応え、10年ぶりに日本への想いと10月にリリースした最新作『バッド・アズ・ミー』について語った。
まず、アルバム・タイトル『バッド・アズ・ミー』について、彼は「自分の分身のような人物と出会った時、『お前がどんな人間かわかっている。俺と同じくらいのワルさ』と思うことに由来しているんだ。『お前もスパゲッティーをスプーンで食べるだろ。お前も汚れたグラスで平気で水が飲めるだろ。床でも平気で寝られるだろ。お前も裏庭に馬を飼っているだろ。お前も俺と同じくらい駄目な人間だろ』って親近感を覚えるようなことさ」と語った。
また、彼の作品に20年ぶり・3度目のゲスト参加を果たし、トムが「気心が知れているというだけでなく、尊敬と称賛の念を心から抱いている相手」だというキース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)について、1曲目の“シカゴ”では「彼は対旋律を弾いているんだが、その対旋律が(ビッグ・ジョー・ウィリアムスの)“Baby, Please Don’t Go”なんだ。正に立ち去ることを歌っている歌にぴったりの対旋律だ。彼は膨大な音楽の語彙を持っている。そういう部分こそ正に今回俺が求めていたもので、彼はそれを凄く自然にやってのけてしまうんだ。」と絶賛。
さらに、今作が初のゲスト参加となったレッド・ホット・チリ・ペッパ-ズのフリー(B)が運営する私立の音楽学校の建物が、かつてトムが父親と一緒に酒を飲んでいたバーだったということが発覚し、以来学校のボランティア活動に協力しているというエピソードも明かした。フリーについては「今回彼にアルバムで弾いてくれないかと頼んだら、彼も自分(レッチリ)のアルバムを作っているところだったにも関わらず、わざわざ時間を作って来てくれた。彼は、人柄が温かく、熱心だ。またミュージシャンとしても天性のものを持っている。」と語った。
最後に、1978年以来なんと33年間も来日が実現していないことを知ると、ひとしきり大笑いしたあと「長い間音信不通で申し訳ない。もの凄い量の仕事に埋もれていたんだ。日本にはまた行きたいと思っている。いつになるかはわからないが、俺のゴールは日本にまた行くことだ」と語ったという。続けて「みんなのことは決して忘れていない。新聞でも読んでいる。必ずまた日本には行くから、もう少し俺に時間をくれ」というメッセージも残した。
なお、このほかにもインタヴューでは11月12日付の米ビルボード・チャートで初登場6位にランクインし自己最高位を獲得したことや、今年度の「ロックの殿堂」入りを果たしたことなどについても答えているとのこと。全貌は、日本オフィシャル・サイト(http://www.sonymusic.co.jp/tomwaits)にて随時公開となる。