いよいよ6月20日にリリースされるザ・スマッシング・パンプキンズの新作『オセアニア~海洋の彼方』はパンプキンズの全盛期に近い内容だとして早くもファンからも喝采を呼ぶ内容となっているが、ビリー自身はかつてのパンプキンズとはまるで違う作品だと一蹴していると『ローリング・ストーン』誌が伝えている。
ビリーは『オセアニア』について懐かしいという声が聞かれているのはわかっているとしながらも、次のように語っている。「土台のところではかつてのスマッシング・パンプキンズの楽曲とはまるで別物だから。ほとんど比較の対象にさえならないくらいにね。でも、聴いてみると確かに懐かしく聴こえる効果があるみたいなんだね。まるで違った構造になってるにもかかわらずね。それはぼくも予期していなかったことだけに、すごく興味深く思ってるんだ」
さらにビリーはこう推察している。「ただ、その懐かしさはきっとソングライティングに起因してるんじゃないのかな。ひょっとしたらそういうことなのかも。ちょっと当てずっぽうかもしれないけど、ソングライティングそのものが関係しているのかもしれないね」
その一方で、自分には一貫したテーマがあると思うかという問いに対して、ビリーはないとしながらも、4歳で母親と別離したことが繰り返し蘇ってくるテーマにはなっていると語っていて、形として見えなくてもこのテーマが自分のあらゆる人間関係にも影響しているとビリーは説明している。「だから、常に繰り返し蘇ってくるテーマがあるわけで、それが遺棄とか、疎外というテーマとなってぼくのほかの人間関係にも顔を出すんだよね」
また、ツアーについては秋からアメリカ・ツアーを予定していて、ロジャー・ウォーターズの『ザ・ウォール』ツアーのステージを手がけたショーン・エヴァンスと現在舞台を準備しているので、相当に凝ったヴィジュアルを提供することになるという。基本的にセットは新作『オセアニア』を紹介するものになるそうで、それに合わせて昔の楽曲も披露していくが、ベスト・ヒット的なものにはならないとビリーは断言していて、これはパンプキンズの昔のアルバムばかりをかけている人たちへの「ささやかなファック・ユー」なのだとうそぶいている。
また、ロック・スター的なオーラを誰に一番感じるかという問いにビリーはジミー・ペイジを挙げていて、いまだにそういう不思議な雰囲気を持っているとビリーは説明している。また、ジョン・ボーナムの死とともにいったんレッド・ツェッペリンを終わらせたことも評価していて、次のように語っている。
「そういう教訓をぼくは辛い形で学習しなければならなかったんだ。ジミー・チェンバレンが96年にバンドをいったん脱退した時、ぼくは『また誰か代わりをみつければいいや。バンドはもうメジャー級だし、きっとすごい人がみつかるはずだし。同じというわけにはいかないけど、違った形で同等にいいものになるはずさ』って思ったんだよ。でも、そういうふうにはならないものなんだよね。そんなふうに、自分の兄弟分を取り換えちゃいけなかったんだよ」