トム・ヨークとナイジェル・ゴドリッチ、DJカルチャーの9割が馴染めないと語る
2013.04.24 17:00
7月のヨーロッパ・ツアーからツアーに乗り出すアトムス・フォー・ピースだが、トム・ヨークとナイジェル・ゴドリッチがツアーに向けての抱負などを『ローリング・ストーン』誌に語っている。
ライヴへの手応えについて「正直言ってどうなるのか、今はさっぱり見当もつかない」と語っているが、ナイジェルは『アモック』のレコーディングに乗り出した時もそうだったと指摘していて、これにトムも同意して次のように語っている。
「『アモック』は新しい人たちとの組み合わせを見出す喜びから生まれたものなんだよ。だから、これからどういうことが起きるのかぼくは楽しみだな」
また、トムとナイジェルにとってアトムス・フォー・ピースとしてロスアンジェルスで作業を重ねることは、ロンドンとはまったく違った環境で友人らと過ごす経験となっていて、どこか休暇に出ている気分がずっと続いており、そうした気分がずっと続いてほしいし、これは仕事だと思うようなことにならないように願いたいとトムは語っている。
また、トムとナイジェルはDJをやることで受けた影響は相当にあると語りつつも、実際問題としてはDJカルチャーの9割方は自分には馴染めない世界で、イビザの興行師からこっちで回さないかなどと連絡を受けると腹が立ってくるとトムは語っているが、その反面、DJをやめられないわけを次のように語っている。
「ここ数年でぼくが経験した最も刺激的なことはフライロー(フライング・ロータス)との出演だったからね。(ロンドンの)ロー・エンド・セオリーに初めて出演することになったんだけど、フライローに引きずられるようにして行くはめになって、ぼくはもう泣いたり叫んだりして嫌がってたんだよ、やりたくなかったからね。時差ボケだったか、なんだかで。それがやってみたらぶっとびだよ。ファッキンぶっとび。しかも、会場には同志愛みたいなのが溢れてて、みんな顔馴染だからなんだろうけど、これまで経験したものとはまるで違ってて、ぼくの慣れてるものじゃなかったんだよ。ものすごい派手なクラブ空間だとか、そういうことじゃなくて、ただもうファッキン・ラウドで楽しかったっていうことなんだ。このシーンの音楽の多くはイカレちゃってるしね、ヒップホップのものとか、ものすごくアブストラクトで、アートフォームのように思えるんだよ。ぼくたちがベルリンでDJをやった時には前の出番がアンスタムで、そのセットなんてね、40分間の芸術作品だったからね。みんな踊って音を楽しんでて、キック・ドラムは超絶的にラウドで、でも、よくよく聴いてみると、『これはマジで超複雑だよ』っていうもので、ほとんどねじれたプログレみたいな感じだったんだ」
その一方で一部メインストリームへとブレイクしたDJカルチャーの要素が再生産されていくプロセスにはついていけないと二人は語っていて、ナイジェルはデヴィッド・ゲッタやカルヴィン・ハリスらはDJカルチャーにおけるマークス・アンド・スペンサーやH&Mのような廉価ブランドになり果てていると皮肉っている。
なお、現在もいろいろ作曲は進めているとトムは語っていて、ごくシンプルなエレクトロニックな作品が今取り組んでいるものだと説明している。さらにレディオヘッドとしての活動については、まずしばらく休暇を取ってからにしたいとトムは打ち明けている。
さらに昨年、ジャック・ホワイトのナッシュヴィルのスタジオでのレコーディングでは、ライヴで披露していた新曲"Identikit"の他に別の曲のレコーディングを行なっていたことも明らかにしている。