アトムス・フォー・ピースのナイジェル・ゴドリッチ、Spotifyに反対する真意を語る

アトムス・フォー・ピースのナイジェル・ゴドリッチ、Spotifyに反対する真意を語る

トム・ヨークとともにSpotifyからの音源の引き上げを表明したナイジェル・ゴドリッチだが、今回の措置に対して偽善的とも金持ちのボヤキとも言われていることに反論している。

トムやナイジェルの主張では、Spotifyがアーティストに提示しているような条件がまかり通ってしまうと、まだレコードを売ってきた実績のない駆け出しのアーティストやプロデューサーはとても生活していけなくなるとのことだが、『ザ・ガーディアン』紙では2013年時点ではテレビでの音源使用やラジオでのエアプレイによる収入で充分食べていけるはずだという内容の記事をブログに掲載。その後、『ザ・ガーディアン』紙の取材を受けたナイジェルはこの記事に対して次のように猛烈に反発している。

「あの記事を書いたやつに言いたいけどね、今の時勢でコマーシャルに使われた程度で40万ポンド(約6320万円)もの報酬を貰えるって本気で信じてるんだったら、クラックの吸い過ぎで頭がラリッたまんまなんじゃないかって僕は言いたいよ。もちろん、君がジェイ・Zならそれくらい貰えるよ。ジェイ・Zとか、そういう世界を牛耳る5本の指の一人だったならね。でも、僕たちがずっと言っているのはね、あの記事を書いたやつの言ってる条件なんて全部、今じゃ業界は数千人がひとつの物件をめぐって競合している状態だから、買い叩かれてありえなくなったっていうことなんだよ。もうね、そういう世界はなくなっちゃったの。だから、ああいう記事や知識はなんの役にも立たないんだよ」

ナイジェルはそもそも自分はレディオヘッドの全アルバムがこれまで累計で3千万枚以上売れているという恩恵に被っているからこそ、Spotifyのような、株主の方が新人アーティストよりも大きな利益を上げていくような会計システムへの異議を表明するだけの余裕にも恵まれていると力説している。

「これは本当に時代や社会の気分を映し出す事象となっていると思うよ。今の世の中では、みんなさもしいほどに強欲なんだ。こうしたことはすべて、音楽への世界規模でのアクセスが生んだことであって、それ自体は素晴らしいことだと僕は思っているんだよ。僕は別に時代の遺物ではないし、ストリーミングがどういうものかわかっているし、これまで会ってきた誰よりもどういう仕組みで動いているのかわかってるつもりだよ。それだけじゃなくて、この数週間のうちにものすごいリサーチもしたわけだからね。今迎え入れようとしているもの、この先の原則になってしまうかもしれないもの、それが今決まっちゃおうとしているところなんだよ。でも、それについて一部の人々が本当に強欲になっていて、そんな仕組みにする必要はないと思うんだ」

ナイジェルは別にストリーミングに反対しているわけではなく、ただ、現在ストリーミングに関わってくる様々な条件を推し進めている張本人たちが、かつてみんながすでに持っていたレコード・コレクションを20ポンドですべてCDとして買い直させようとしていた同じ人たち(つまり、Spotifyの大株主になっているレコード会社各社)だという事実が問題なのだと主張している。

さらにザ・ブラック・キーズやアデルなど天文学的なセールスを誇るアーティストでもスポティファイに楽曲を提供していない事実があるにもかかわらず、スポティファイに楽曲を提供しないとアルバムは売れないと説得して回るのだとナイジェルは警告している。

「この連中は狡猾だからね。僕よりは狡猾だし、僕よりも大勢いるんだから。しかも、僕より資金も時間もふんだんに持ってるからね。なにもね、僕にすべてがわかっていて、僕が自分のストリーミング・サーヴィスを始めたいとか、そういうことを言ってるんじゃないんだよ。でも、もっとまともなものを考案したら、長い目でみればそっちの方がうまくいくんだからさ。むしろ、すごいものになるかもしれないんだ。みんなにあらゆるものへのアクセスを可能にする技術的な革命になるかもしれないんだよ」

なお、レディオヘッドのセカンド・アルバム『ザ・ベンズ』でジョン・レッキーのアシスタントとして加わったナイジェルは、自身のプロデューサーとしての大きな飛躍となった『OKコンピューター』についても次のように振り返っている。

「『OKコンピューター』は僕に初めて全権を任された作品だったから、本当にとんでもない出来事だったんだ。このものすごく知的で洞察に満ちたメンバーによるグループが僕に好きにやってみろって言ってくれたわけだからね、死ぬ気でやったし、一緒に全員があの時点でいたところのものをしっかり作れたと思うよ。で、作品がその後忘れられることがなかったのはそれなりの理由があったからなんだよ。みんなにしっかり受け入れてもらえたから、ぼくにとっては人生が変わるような事件になったよね」

ナイジェルはレディオヘッドの面々を今も自身の親友だと語り、次のようにつけ加えている。

「僕はとんでもなく恵まれてたんだよ。結局、これは人との巡り合わせだからね。そこはやっぱり運不運なんだ。僕の場合、汗水垂らすほどツキが回って来るみたいなんだよ」
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