ストロークスのアルバート、『Is This IT』について「混沌とした若さ」と語る

ストロークスのアルバート、『Is This IT』について「混沌とした若さ」と語る

ザ・ストロークスのアルバート・ハモンド・ジュニアは『NME』の動画インタヴューでストロークスの『イズ・ディス・イット』について語っている。制作当時のことを振り返ってアルバートは次のように振り返っている。

「僕の手応えとしては、僕たちはなにかいいものを作り上げてるとわかってて、実際、ゴードン(・ラファエル)と一緒だとすぐにいい音が摑まえられたんだ。最初のEPもそうだったしね。だから、あのアルバムでどうしようかって考えたところはなかったんだ。っていうか、当初は誰だっけな、えーと……ギル・モーガン(ギル・ノートン。ピクシーズのプロデューサーとして有名)だったっけ? ……と一緒にやることになって、それはちょっと『これは微妙だなあ……ちょっとだめかも』って感じで、それでゴードンに戻したところがあったから、やってて楽なところはあったんだよ。それに基本的にその頃ライヴでやってたセットリストをレコーディングしてただけだから。だから、すごく楽な作業で、全部身体で憶えてることをやってる感じだったんだけど、曲によっては意図的にライヴ・レコーディングを避けて、違った感触を出そうとしてたんだよ。ただ、基本的なフィーリングはあの時感じてた、大きな興奮っていうものだったんだ。絶対にうまくいくと思えたんだけど、あとはタイミングの問題だったんだ。具体的にどういうことになるのかは僕たちにもわからなかったけど、とりあえず、次のアルバムをまた作れるところまでは成功するはずだとは自分でもよくわかったよ」

当時の自分たちについてはアルバートは次のように語っている。
「自分たちについてはすごくイケてるバンドで、すごくイケてる曲を書いてると思ってたよ。これはすごいバンドなんだからってね。今でもそう思うけど(笑)。それでそういう仲間と一緒にやってるからには、他のことなどお構いなしで当たり前なんだと思ってたよ。でも、プレッシャーみたいなものはずっと感じてたし、それは自分たち全員が生来持ってるもんだと思うんだけど、よりよいものを目指せというプレッシャーが僕たちの場合には常にかかってるんだよ。だから、そういうプレッシャーにはいつも備えてるんだよね。むしろ、準備ができてなかったのは、準備のしようがないものっていうか、成功がどのように起きてそれからどんな事態になるのかとか、そのなかで生まれるダイナミズムと、それにあわせてどう進歩していくかっていうね、そういうことへの準備はできなかったんだ。そういう状況に合わせて進歩していくにはそれなりに時間がかかるんだよ」

また、レコーディングについては次のように回想している。
「Aアヴェニューとセカンド・ストリートの交差点にあるデリの地下に(バンドがレコーディングをしていた)トラスポータラム(・スタジオ)があるんだよ。ミックスを作るとすぐに通りの向かいにある2Aっていうバーに音を持ってってステレオでかけてもらってどんな音か確かめたりしてね、すごい楽しかったな。"Someday"のテイクによっては笑い声とかも入ってたし、全部ライヴでやってて、それをまた聴いて……要するに、収録曲の半分かそこらは、どれも最初か2回目のテイクなんだよね。でも、みんなで音を落とし込んでいってる時にね、たとえば、"Hard To Explain"ではファブ(・モレッティ)は一人でドラムを叩かなくちゃならなくて、それはスタジオがすごく狭かったから、あのドラム・サウンドを作っていくのにほかの楽器の音が重ならないようにしなきゃならなかったからなんだ。その音が出来上がっていく感じがね、ほんと気持ちよかったね。それで僕の家に3歳くらいの頃からあった、ピーヴィー社のアンプを使ってあの音を作っていったんだよ。ジュリアン(・カサブランカス)が最初に作ったデモにしても、僕のデジタル・8トラック・レコーダーでピーヴィーを使って作ってたから、あのサウンドはもうぼくたちの頭の中にあったものだったんだ。だから、みんなでどんどん実行して作ってっちゃう感じで楽しかったな。ゴードンもあのアルバムには最適な人物だったし、大概はね、バンドがあんなことやってたら『それはありえないから』『それじゃやり方が違うんだよ』『そうやってやっちゃダメ』とか、そういう世界だったと思うんだよね。でも、ゴードンはただ『よしっ!』って言うだけで、ぼくたちは好きなようにやっちゃって、やっちゃったらそれが大正解な音だったからさ。今聴き直してみると、まるで混沌とした若さ、みたいな音だけど、そういうものを捉えるべきものだったんだよ。ああいう音はあの時にしか鳴らせない音なんだから、それをわざわざ作り変えることはないんじゃないかっていうさ」

当時のファンのリアクションをアルバートは次のように語っている。
「最初は気に入らなかったファンでも、その後新しいファンになってくれたりして、それだけ音に押し切られるところがあのアルバムにはあったんだよね。ただ、最初は、僕たちのことを好きになること自体を嫌がってる人も多かったんだ。なんか僕たちが成功していくのが目に見えてて、それで『ちょっと待った! こいつらを応援するのはちょっとしゃらくさいな』っていう感じで、ま、いいんだけどさ。人ってそういうもんだから」

また、アルバムがもたらした変化をアルバートは次のように説明している。
「ものすごい変化になったよ。あの頃のバンドは今のようなものじゃなくて、本当に違ってたんだからさ。僕としてはバンドとしてもう何年も孤独感を感じてたからね。僕たちのようなことをやってるバンドはまるでいなかったんだ。ライヴをやっても、バンドもお客さんも、みんなニヤけて居心地悪そうにするだけで、似たようなバンドのコミュニティもなかったし、すごく孤独だったよ。でも、その後、似たようなバンドが出てきて、それでよかったんだけどね」

(c) NME.COM / IPC Media 2013
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