エミネム、復活してからの近作『リラプス』と『リカヴァリー』について語る


11月20日に新作『ザ・マーシャル・マザーズLP2』をリリースするエミネムだが、『ローリング・ストーン』誌に新作の仕上がり具合や、『ザ・マーシャル・マザーズ』、『リラプス』、『リカヴァリー』について語っている。

実はいまだに作業を続けているエミネムだが、音のレベルなど純粋にサウンドの仕上げやチェックの段階に入っていると語っていて、実際にレコーディングした自分のヴォーカル・パフォーマンスなどは数テイクしか録っていないと説明している。テイク数が少ないわけについては「一番最初にやった時の感触がいつだって一番いいもんだからだよ」と説明している。

また、このインタヴューでエミネムは今現在の自分の仕事ぶりについて『ザ・エミネム・ショー』や映画『8マイル』を同時に作っていた2002年頃と同じくらいにハードに仕事をしていると語っていたことが先に伝えられていたが、00年のセカンド『ザ・マーシャル・マザーズLP』については次のように語っている。

「たぶん俺の一番好きなアルバムかな。収録曲のいくつかはそれぞれに違った理由で俺の一番好きなものなんだ。自分のレコードについてこういうことを言うのは嫌いなんだけど、でも最初の3枚についてはある時期を捉えていたと思うんだよね。その一方で、これは公でも何度か言ってきてるけど、『アンコール』や『リラプス』はそうじゃないんだよ。なんか別の時期になってるっていうかね」

しかし、タイラー・ザ・クリエイターが『リラプス』についてここ数年では最高のヒップホップ・アルバムだと公言していることについてはどう思うのかと問われてエミネムは次のように答えている。
「そうなんだよ、もう会う度に言われるんだよね。俺だって嫌いなわけじゃないんだよ。俺はラップをやって歌詞的にいつも最高のものを届けたいと思うんだけど、それと同時にそのことと、ちゃんとした曲を書くこととのバランスをしっかり取りたいんだよ。そして、俺がそのバランスを見出しているのかというと必ずしもそういうわけじゃないんだよ。特に(『リラプス』の頃は)薬物依存からやっと立ち直ってきた頃でなんとか地に足が着いてきた状態だったから、『これ、ウケるじゃん!』っていうだけの曲がたくさんあったんだ。友達とたむろして、バカ話して、それをレコードにして、自分で超ウケるみたいな。というのはね、しらふになってみたら、これは何度か言ってきたけど、ほんとに『すんげえ! 俺ってまたしっかり考えられるようになった!』っていう世界だったんだよ。だから、特に曲っていうところでは、それもなんかしらの感情を呼び起こすような、そんな曲が書けてるかどうかという意味では俺の最高の作品の部類に入るかどうか、わからなくなったっていうことなんだ。自分の訛りとかもちょっと禁じ手にしてみたりもしたしね。連続殺人鬼キャラとか、ああいう気のふれたヴァイブにはまって、そのままやっちゃってみたわけだよ」

その一方で『リカヴァリー』については次のように振り返っている。

「このアルバムではようやく『ザ・エミネム・ショー』でいたようなところまでやっと戻れたかなという感じだったんだ。クリエイティヴィティとか、作曲面での意味なんだけどね。それと『リカヴァリー』は、俺の一派とは違った外部のプロデューサーとあれだけたくさん組んでみた初めてのことだったからね。ドレーは例外として、俺はいつだって自分でプロデュースしたいわけで、というのは俺もプロデュースはすごく好きだからなんだよ。このアルバムが俺にとってよかったのは、もうすでにコーラスの出来上がっている曲と取り組んでみることができたということなんだ。誰かが歌っているフックを聴いてその歌詞を自分なり解釈して噛み砕いていくっていうのは、俺にはちょっとした挑戦だったんだ。自分で曲を書く場合、フックが意味していることは書いた時点ですべてわかってるわけだからね。俺の音楽へのアプローチというのは、ビートがどういうものでどういう魅力があるかどうかということとは無関係に、歌詞的には自分に出来る最高のところまでハードな内容にしたいわけなんだ。だから、ビートを貰ってそれが『すげえな、これはラジオでもすごいかかるかも』と思えるものだったしても、『ラジオでかかるかもしれないから、適当な感じで抑えとくか』とは思わないんだよ。どのレコードについても俺はMCとしての視点からアプローチしたいと、俺は常にそう考えてきたんだよ」