アメリカでは商務省が著作権法改定の余地があるか検討を進めているというが、これに対して多くのアーティストらが反対表明を行っていると『ローリング・ストーン』誌が伝えている。
特にアーティストが神経質になっているのは政府の検討チームがリミックスに関する規制を緩める可能性を探っていることで、検討チームは「リミックスを作ることが必要以上に禁止されているのではないか」と吟味していて、著作権法上の規制を今後緩めることで「さらなる価値ある創造性を生み出すかもしれない」と指摘しているという。
これに対してエアロスミスのスティーヴン・タイラー、ザ・イーグルスのドン・ヘンリー、デッドマウス、スティングらのアーティストらは、アメリカの政府機関である特許商標事務所に宛てて、マッシュアップ、リミックス、サンプリングを著作権所有者の許可なく発表できるような法改正に踏み切らないよう訴える書簡をそれぞれに送付しているという。手紙では各人はすでに自作のカヴァーが許可なく行われてしまうことについて触れ、「自分の楽曲やレコーディングを自分の許可なく題材として変質させてしまうことを許可するのはやり過ぎだ」と訴えているという。
その一方で、検討チームでは幅広く意見や参考証言などを集めていて、たとえばパブリック・エナミーのチャックDなどは、ヒップホップ・サンプリングについて現在ではサンプリング規制があまりにも厳しくなって自分たちが80年代に作っていたような作品は到底作りえないものになってしまったと語っているという。
しかし、スティーヴン・タイラー、デッドマウス、フリートウッド・マックのミック・フリートウッドらの法的代理人として活躍する弁護士のディーナ・ラポルトはこうした論議は一刻でも早く打ち切らせなければならないと語っていて、「アーティストの認可を切り捨てて、作品をいくらでも使い回せるようにするという論議を円卓で議論することに関心はまったくない」と訴えている。
また、特許商標事務所でも特に法改正に動く予定はないと語っていて、2014年末にアメリカ議会に法改正の是非について上申する際にはおそらく法改正は必要ないと進言する可能性がかなり高いとしている。