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構築美が際立つ聴き手の高揚を煽るイントロ、ボーカルを音色として取り込みながら宇宙都市の情景を詳細に描くエッジの効いたサウンドデザイン、単語に対してメロディをたっぷり割いた譜割りなど、時代に左右されない豊かな技法が多数詰め込まれている。それが実現できたのは「『3人が繰り広げるスリリングな冒険とスペースロマンス』という架空の映画のサウンドトラック」がコンセプトだからだろう。音の精度を高めたことにより、3人のボーカルが音の迫力に負けない純度と華やかさを放つことを強烈に印象づける。ただどうしても「前篇」となると、「後篇」を想定しながら聴いてしまうのは人間の性だ。後篇次第で受け取り方も変わる作品になるだろう。その体験を映画やドラマではなく音楽でできるという意味でも非常に希少性が高く、シーンにおいても意味深い作品である。メジャーデビュー20周年を迎えてもなおチーム一丸となり挑戦を続けていることこそ、何よりも「冒険」と言えるのではないだろうか。(沖さやこ)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より)
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