Perfume @ 東京ドーム

Perfume @ 東京ドーム
「うちらもほんと『LEVEL3』が大好きでね。早くみんなと共感したくてね、みんなと踊りたくて、みんなと歌いたくてしょうがなかった! だけどね、こんなにたくさんの人が、今日この、1年の大事な日に集まってくれて、時間をPerfumeに使ってくれて……ほんまにうれしいです。ありがとうございます!」。本編終盤、あふれる涙をこらえきれないまま、この大舞台への万感の想いを語るあ~ちゃんに、東京ドームの客席を埋め尽くした4万5千人のオーディエンスから惜しみない拍手歓声が降り注ぐ……『ずっと好きだったんじゃけぇ~さすらいの麺カタPerfume FES!!』の最終日に開催がアナウンスされてから約半年、最新アルバム『LEVEL3』を引っ提げて、12月7日・8日:京セラドーム大阪、12月24日・25日:東京ドームと計4公演にわたって行われてきたPerfume初のドームツアー『Perfume 4th Tour in DOME 「LEVEL3」 supported by チョコラBB』も、いよいよこの日がツアー・ファイナル。「全公演ともチケット即日完売&4公演で実に約16万人を動員」というツアーそのもののスケール感と、この日集まった4万5千人の誰ひとり疎外することなく歓喜の彼方へ導いていくような3人の圧巻のエネルギーが、至上のサウンド&メロディや演出の数々と一丸となってでっかく咲き誇っていた、最高のステージだった。

巨大な白い半球で覆われたメイン・ステージと、アリーナ中央に設けられた3つのサブ・ステージへ向けてカーブを描いて伸びる花道、という独特のステージ・デザインが開演前から客席の期待感を煽る中、場内暗転と共に東京ドームがはちきれんばかりの大歓声に包まれる。メイン・ステージの半球に映し出されたプロジェクション・マッピングが次々に形を変え、やがて3人の3D映像が浮かび上がり……と刻一刻と高まった場内のテンションが、1曲目“Enter the Sphere”で青い衣装に身を包んだかしゆか/あ~ちゃん/のっちが半球の頂上に登場した瞬間に爆発! 3人の姿が半球の中に吸い込まれるように消え、3つのサブ・ステージ上に膨らんだ半球状のバルーンの表面に目映いばかりのプロジェクション・マッピングが施され――3人がその3つの半球を破って登場! そのまま強烈なビートと共に“Spring of Life”へ突入! さらに、曲終わりでサブ・ステージ上から瞬く間に姿を消した3人は、メイン・ステージの半球が巨大な蓋のように動いて現れた舞台上に、今度はカラフルなコスチュームに着替えて登場、“Magic of Love”でドームを揺さぶるほどの熱気を生み出してみせる。「『LEVEL3』はこのライブのために作ってもらったと言っても過言ではない」とあ~ちゃんもMCで語っていた通り、最新アルバム『LEVEL3』そのままの曲順で幕を開けたこの日のアクト。世界照準のハイパーなサウンドとビートを凝縮した『LEVEL3』のサウンドスケープとキュートな歌世界も、とにかく観客を一瞬たりとも飽きさせない!という意欲そのもののような3人の鮮やかなダンス・アクトも、そしてマジカルな演出効果の数々も、客席の高揚感を天井知らずに高めていくのがわかる。

Perfume @ 東京ドーム
「東京ド―――ム! 広ーい! 昨日も立ったのにもう忘れとった(笑)。みんな、クリスマスよ? ええん? ここにおって」と熱気あふれる客席に呼びかけるあ~ちゃん。「『LEVEL3』聴いたよって人!」「『LEVEL3』持ってるよって人!」という声に応えて、ドーム一面に手が挙がったのを見て、「え? ほんと? それ、データで持ってるよって話? 盤? すごーい!」と世間話のように語りかけながら、『LEVEL3』がアルバムチャート1位になったことへの感謝を表すその姿が、巨大な会場のステージ/客席の距離感をあっさり無効化する。そして、「東京ドーム、今日はうちらのもんよ!」「中田(ヤスタカ)さんがいろいろ仕込んでくれとるじゃん? それを共感し合う場です! 広いですけど、クリスマスですから。ひとり残らず記念日にして帰りたい!」と叫ぶあ~ちゃんの声が大歓声を呼び起こしていく。客席を3分割してのお馴染みのコール&レスポンスは今日は「あか」「しろ」「きいろ」。“チューリップ”の歌詞からきているようで、続けて「どのはなみても?」「きれいだな!」の4万5千人の大合唱が巻き起こる。「のっちがね、プレゼントくれたんだ! 『クリスマス感 演出券』(笑)。これまだ使ってないんだよね」(あ~ちゃん)、「いや、使ったよ? 2人よりも早く入って、クリスマスソングを楽屋で流して待ってたでしょ?」(のっち)、「あー! そっか! 『のっち、クリスマス好きなんだぁ』って思ってた(笑)」(かしゆか)という和気藹々MCの間に、あっという間に20分近い時間が過ぎていく。

オリエンタルなイントロから流れ込んだ“1mm”では、ステージ左右のビジョンに映し出された3人のしなやかなダンスの映像に合わせて歌詞が浮かんでは消えるというMV同様の演出が施されていたり、このツアーでライブ初披露された“Clockwork”では時計の歯車を象った映像の効果とリンクするようなアクションを展開したり……とさらに曲が進み、“ポイント”で花道に歩み進んだ3人がクレーン仕掛けで高々と空中へ持ち上げられていく。左右両翼のあ~ちゃん&かしゆかはクレーンに乗ったまま、サブ・ステージのさらに先にある離れ小島へ降り立つ(中央花道ののっちはクレーンから降りてサブ・ステージへ徒歩移動。それをあ~ちゃんにいじられる一幕も)。Perfumeのライブ恒例となった3人の「お客さんのコスプレいじり」あり、あ~ちゃん&のっちの「金縛り体験」トークあり、「私(金縛りに)なったことないんですけど。周りの人がみんな遭ってるから、私がおかしいのかな?って思ってた」というかしゆかの安堵MCあり、というリラックス・モードのMCを挟んで「金縛りの歌です」と“ふりかえるといるよ”へ。ドーム公演ならではの構築されたショウ感と、ステージ上にたった3人で立つかしゆか/あ~ちゃん/のっちのパーソナル全開な場面とが、まったく矛盾も違和感も感じさせることなく、ひとつのパースを描いていくのも、Perfumeのライブならではの魅力だろう。

Perfume @ 東京ドーム
会場外の3Dスキャンシステムで撮影された観客の姿が、映像の中の巨人Perfumeにつまみ上げられる、という特殊効果で満場の驚きと感激を呼び起こした“Sleeping Beauty”では、観客の3D映像の集合体が3人の姿になりPerfumeのロゴになり、ヨーロッパ・ツアーで訪れた会場の地名が映し出され――という映像を通して、自分たちと観客ひとりひとりと世界とを直結してみせる。そして、アルバム『LEVEL3』の中でもひときわハード・エッジでアッパーなテクノ・サウンドが鳴り渡った“Party Maker”では、メイン・ステージ上のリフトに乗った3人が、レーザー光線きらめく中で切れ味鋭いダンス・アクトを展開、ドーム激震の熱狂を生み出してみせる。続く“Spending all my time”では真っ白な衣装をまとって登場、カンヌ広告祭などでも披露された最新鋭の技術「360度人体プロジェクション・マッピング」で場内の温度をさらに上げていく。

Perfume @ 東京ドーム
その白いコスチュームを脱ぎ捨て、今度はつややかな赤の衣装へチェンジしたところで、ここからは『LEVEL3』の世界を飛び出してPerfumeアンセムを畳み掛けていく。“コンピューターシティ”から、短いMCを挟んで“エレクトロ・ワールド”、さらにサンタ風のコスチュームをまとった3人はカートに乗り込み、アリーナ後方の小ステージまで“ジェニーはご機嫌ななめ”と共にサインボールをぽんぽん客席に投げながら移動。クリスマスケーキのような360度小ステージで披露するのは“ワンルーム・ディスコ”! さらに「僕ドラえもんでーす!」というのっちの物真似MCに導かれて、メイン・ステージに戻るカートの上から歌い上げるのはもちろん、『ドラえもん のび太のひみつの道具博物館』主題歌“未来のミュージアム”。あ~ちゃんの「4つ打ちカモン!」のコールから突入した恒例「P.T.A.のコーナー」では、4万5千人が「シャンシャン……」と鈴の音を合唱(?)する中、♪ねえ聞こえてくるでしょ 鈴の音がドームから~とアカペラで歌ったり、「手振って!」の声とともに広大な客席に巻き起こるハンドウェーブを「揃ってると、植物が生えとる感じ! すっごいきれい!」とあ~ちゃんが絶賛したり、あ~ちゃん考案の「サンタ」「トナカイ」「雪だるま」のダンスで、観客だけでなくのっち&かしゆかも翻弄して爆笑が湧き起こったり……といった具合に、Perfume時空の多幸感はさらに濃度を増す一方だ。

バキバキでキラキラなサウンドと3人の歌声が弾け回る“だいじょばない”から、ライブは一気にクライマックスへ。さらに“ポリリズム”! 銀テープのキャノン砲とともに“チョコレイト・ディスコ”!……とPerfume快進撃を支えたキラー・チューンを連射。巨大な会場がダンスとクラップとシンガロングであふれ返っていく。「ようけ声出してくれてありがとう! ドームツアーなんて、やっぱりすごいよ。毎回ドームなんだもん!」と語りかけるあ~ちゃんの声は感涙に震えている。「“ポリリズム”をリリースした時に、『感謝!感激!ポリ荒らし!』っていうツアーをやったんですよ。広島はアクターズスクール広島の9Fにあるスタジオにステージを組んでやったんだけど……」と、2007年当時を振り返って語るあ~ちゃん。「ライブハウスとかじゃなくてスタジオだからさ、『アクターズスクールの発表会のリハーサルみたいじゃん?』って思って、ちょっと残念でもあったんだけど。でもその時にね、観てくれたアクターズスクールの生徒のみんながね、『自分たちがいつも踊っとるスタジオにも、こんなステージができるんだ! 場所じゃないんだよ』って言ってくれてね、すっごい嬉しかった。それが今、ドームでさ、こんなすごいステージ組んでさ……ほんまに嬉しくて。こんな大きなステージなのに、すっごい楽しくて過ごせとるんが、嬉しい!」。そんな彼女の言葉に、割れんばかりの拍手と歓声が広がっていく。

Perfume @ 東京ドーム
「ここってドームなんだ!って思うくらい、みんなとの距離が近くて」とかしゆか。「ドームでやってる!っていう緊張してた気持ちも忘れちゃって、楽しい気持ちでいっぱいになりました。緊張した時には、わかってたかのようにあ~ちゃんが声をかけてくれたり、のっちと目が合ったり……ほんとにこの3人だからずっとやってこれてるんだなって実感して……」と話すかしゆかの目にも涙があふれてくる。「みなさんがいてくれたからこそ、楽しいライブになったし、ここまで頑張れたと思います。みなさん本当にありがとうございました!」。最後に、決然と語ったのはのっち。「本当にこの1年、ドームのために駆け抜けてきて、試練もたくさんあって。自分たちで『したい!』っていう気持ちで臨んだいろんなことだったんですけど、たくさん打ちのめされたりとか……度胸がついた1年だったんだなって、今日ここに立って実感しました。3年前はあんなに緊張して、バキバキだったけど、今日はほんとにホームというか、自分へのご褒美みたいな感覚で過ごしてました」。

「一夜限りの祝祭」だった2010年11月の東京ドーム公演の記憶を遥か踏み越えて、この大きなステージを「自らの居場所」として最大限にその魅力を発揮する3人の「今」の力強さと、この晴れ舞台の歓喜を誰よりも全身で謳歌しながら「その先」へとさらなる冒険を続けている3人のヴィヴィッドな躍動感。その両面を誰もがリアルに感じることのできた、感動的なステージだった。「『LEVEL3』のアルバムをもっと好きになってくれたら、嬉しいなと思います。そして、私たちのことも、もっと好きになってくれてたら嬉しいです!」というのっちの言葉に、ドーム中から熱い拍手が鳴り響いたことは言うまでもない。

Perfume @ 東京ドーム
「最後になります! みんなの心をひとつに合わせて、リズムを刻んで、同じこの空気を感じたいと思います! 4万5千人がひとつになる瞬間を、みんなで見届けよう! そして、また明日から頑張れるように……OK?」というあ~ちゃんの言葉と「せーの!」の合図と共に4万5千人が手を高々と挙げ、本編ラスト“MY COLOR”へ。明るく照らされた会場で、残り少ない瞬間を渾身の力で楽しみきろうとするように踊り回る3人の姿が、この上なく晴れやかな歌が、熱い余韻とともに胸に残った。「本当に、たくさんの愛をありがとうございました! 今日のことを思い出して、またうちら頑張るけん。ちゃんと見とってね!」というあ~ちゃんの言葉を残して、3人が退場。アンコールを求める手拍子が暗闇に響く中、ほどなく『LEVEL3』ラスト・ナンバー=“Dream Land”のイントロが流れる。サブ・ステージに登場した3人は天使の羽根のような白いドレス姿で登場、その羽根にきらめくプロジェクション・マッピングとレーザー光線が、至上の一夜の終わりをファンタジックに彩っていく。やがて、メンバーのメッセージが書き込まれた白い風船がドームの天井から降り注ぐ中、かしゆか/あ~ちゃん/のっちの3人がゆっくりとメイン・ステージへ歩んでいく。巨大な半球が3人を覆い隠すようにゆっくりと口を閉じて……終了。半球に浮かび上がる「SEE YOU NEXT LIVE」の文字。前回のドーム公演から3年、世界進出も果たした自分たち自身の進化を結晶させた『LEVEL3』の世界を、どこまでも鮮烈なアートとして、同時に巨大なエンターテインメントとして体現しきった、珠玉のアクトだった。(高橋智樹)

セットリスト
01.Enter the Sphere
02.Spring of Life
03.Magic of Love
04.1mm
05.Clockwork
06.ポイント
07.ふりかえるといるよ
08.Sleeping Beauty
09.Party Maker
10.Spending all my time
11.コンピューターシティ
12.エレクトロ・ワールド
13.ジェニーはご機嫌ななめ
14.ワンルーム・ディスコ
15.未来のミュージアム
16.だいじょばない
17.ポリリズム
18.チョコレイト・ディスコ
19.MY COLOR
Encore
20.Dream Land
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