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「ハスキング・ビー行きます」という磯部のMCと共に“COSMIC RAYS”が鳴り響いたとき、大きな歓声が彼らを呑み込んだ。地道にオーディエンスとの信頼関係を築きあげてきた、ハスキンらしい幕開けだ。そして、バンド・アンサンブルも絶好調である。磯部の男性的で熱い歌声と、平林のフェミニンで清涼感のある歌声が交差する、黄金のコーラス・ワークが気持ちよい。「ディズニーランドに負けるな!」というMCに続く“新利の風”“NEW HORIZON”でも、ふたりの声の対比と交響がすばらしい。情熱と冷静を司るバンド、それがハスキンだ。
「今アルバムの制作にとりかかっています」という、モヒカンになったテッキンのMCに、客席からまたしても歓声が飛ぶ。その勢いを帆に受けて後半戦へ! “SUN MYSELF”から磯部がアコギを弾く“欠けボタンの浜”へと繋いで、“THE SUN AND THE MOON”“WALK”の代表曲2連打で会場の感動はピークに。場内にすさまじい一体感が生まれていた。ほんとうに「みんなのうた」を生み落とすバンドになった。
 パンク的疾走感にあふれたハスキン・スタンダードと、ユーモラスで知的な日本語センスが光る「聞かせる」名曲群がブレンドされた、まさに彼らの集大成と呼べるセットだった。と同時に、存在感を増した四人の雄姿と、「次のアルバムはすべて日本語で書く」という磯部のMCから浮かびあがるのは、新天地へ向かうバンドの姿勢だ。そう、ハスキンの2004年はすでに始まっていた。(其田尚也)