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SPECIAL OTHERSのライヴをまだ体験したことがなくて、この日を心待ちにしていた人はきっとものすごく多かったのではなかろうか? 会場に入りきらず、それでも居ても立ってもおれず、テントの外でダンスしながら彼らの音楽を満喫するオーディエンスの姿も目に付いた。アジアン・カンフー・ジェネレーションのアリーナ・ツアーへの参加や様々なイベントで2006年を賑わせた彼らは、今、最も気になるバンドのひとつである。当然ながらすごい盛り上がりだったのだが、彼ら自身はそうした気負いを感じさせない自然体のままにこの空間を楽しんでいた。興奮と狂乱へと駆り立てる感情の崖っぷちすれすれまで行っては、そのまま暴走することなく穏やかな場所へと我々を連れ戻してくれる彼らの音楽を浴びていると、心が平穏を取り戻し、自分のあるべき場所へと帰っていくような気がする。しかもそれがスピリシュアルな世界で閉塞するものではなく、生音で肉体的に鳴っているところが素晴らしい。オーガニックなのに最高にポップで、誰にでも開かれた楽曲とサウンド。この秋に立て続けにリリースした “AIMS” “Good Morning”に続き、おなじみの“IDOL”で幕を閉じた。いつまでもこの音に浸っていたい……と思わせる至福の音楽体験だった。(井上貴子)