メニュー



オープニングSEに乗って登場するなり、満場のオーディエンスによる盛大な歓声を浴びるのは、3日目EARTH STAGEのトリを務めるこのバンド、ストレイテナーだ! 疾走感とディープなグルーヴの分裂症のような"OWL"によって、今回のステージの幕が切って落とされる。白黒のパーカーを羽織ったナカヤマシンペイは、さっそく椅子の上に立ち上がって沸き返るオーディエンスを更に煽り立てるのだった。ホリエアツシのど鋭いカッティングと、ひなっちこと日向秀和のヘヴィ級スラップ・ショットでギラギラとエッジが煌めくダンス・ロック"KILLER TUNE [ Natural Born Killer Tune Mix ]"が、そして分厚いノイズの向こうに壮大な物語の始まりを予感させる"クラッシュ"と、多彩な曲群の中にも、その爆音とストーリーテリングによってバンドの特性をEARTH STAGEに刻み付けてゆく。

まだリリースの予定も未定の新曲"VANDALIZE"を披露するとホリエ、「今日はトリを務めさせてもらうということで、時間を気にせずにやりたいと思います。来年1月に『STOUT』という新作が出るんですが、これは新曲1曲とセルフ・カバーで出来た作品で、4人になってからいろいろアレンジも変わってきたので、あまりライブに来たことがない人にも、ライブの招待状だと思って受け止めて貰いたいです。それじゃあ、『STOUT』に収録された新曲"VANISH"、聴いてください」と紹介して、再び演奏に突入する。とてもフレッシュなエネルギーに満ちたロック・ナンバーだが、なんとここでステージに飛び入りしたのはthe telephonsのノブ! 四肢を振り回して踊り狂う彼ならではのダンスが、テナーの最新グルーヴを全力で捕まえにゆく。これにはオーディエンスも大喜びだ。最高のサプライズであった。後になってシンペイは「『なんでテレフォンズのキーボードの人が出てきたの?』って思った人は、"VANISH"のビデオを見てくれればちょっとぐらい分かります」と補足説明していた。大山純による多彩なギター・フレーズが楽曲群に深い奥行きと色彩を加えてゆき、ジェントルな"SIX DAY WONDER"ではホリエが美しいピアノも披露する。ホリエの「後半戦いきます」、シンペイの「今年も終わるぞー!」という言葉を合図にスタートした、まるでDJミックスのような"BERSERKER TUNE"、"瞬きをしない猫"、"Little Miss Weekend"の爆走チューンの連打は、まさに圧巻の一語に尽きるものであった。

まるでフロア一面が舞台と化したかのように歌声が広がった"Melodic Storm"で歓喜のうちにライブ本編は終了したものの、当然のように上がる催促の声に再び登場する4人。「2010年に別れを告げる意味で、この曲をやりたいと思います」というホリエの紹介から披露されたのは"Farewell Dear Deadman"である。そして別れを告げるだけに留まらず、この4人で新しい旅立ちのときを迎えに行く"ROCKSTEADY"で笑顔まみれのアンコールをフィニッシュした。新旧のとんでもない楽曲たちが並べ立てられながら、4人はどこか余裕すら感じさせるという、もはや風格で鳴らすロックの1時間20分であった。(小池宏和)