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「COUNTDOWN JAPAN、上がっていくぜ~!」とDJ JINが煽ったのを合図に“ONCE AGAIN”がスタート。太いビートと共に放射されるラップが、もうとにかく最高! 宇多丸とMummy-Dが横並びで立ってラップしている様は、やはり問答無用の貫禄の塊で、曲はショート・ヴァージョンで終了し、そのまま“Walk This Way”へなだれ込んでいく。ビートを巧みに乗りこなすMummy-Dと宇多丸の百戦錬磨のスキルが、ここでますます浮き彫りとなる。「さっきからギャランドゥが見えないか気になっているんですが……」と、宇多丸がいきなり飛ばしたジョークからそのままメンバー紹介となり、流れ始めたビートにラップが重ねられて“ライムスターイズインザハウス”がスタート。冒頭からお客さんを完全に掌握して、盛り上げてしまったRHYMESTER。マイクとビートを使った最強の芸術表現がGALAXY STAGEに降臨した。
「2011年3月2日に『POP LIFE』というアルバムが出ます。『マニフェスト』の姉妹作的な内容です。すごくくだらない曲も、重い曲もやっています。今日はそこからの新曲もやります。大晦日のおめでたい場にふさわしくない曲ですが。平たく言えば、いろいろ苦しんでいるお母さんと子供たちに向けた曲です」と宇多丸が紹介して始まったのは“Hands”。子守唄のように優しい鍵盤フレーズを重いビートが染め上げ、ラップがじっくり展開した。「このメッセージが突き刺さったのならば、手の平をこっちへ見せてくれ」、曲中での宇多丸の呼びかけを受け、フロア全体でお客さんたちの腕が揺れた。
「カウントダウンまでエネルギーを温存するというせこい考えでない奴は言えよ、ホー!」と宇多丸が巻き起こしたコール&レスポンス。そして、始まったのは“ザ・グレート・アマチュアリズム”。この必殺ナンバーを聴いて盛り上がらないはずがない! そして、さらに続いたのは“付和Ride On”。トライバルなビートに乗りながらスピード感溢れるラップを展開するMummy-Dと宇多丸。彼らのカッコ良さは、ますます尋常じゃあない。
「ついさっき選曲を変えたんです。年末だから盛り上がった方がいいじゃん? でも、もう盛り上がるのは嫌です! ニュー・アルバムの曲をもう1曲やってみようと思っています。これをライヴでやるのは初めて。微妙な空気になるのは目に見えている。だから盛り上がる曲をさっきやったんだよ。次の曲はふざけていますが、盛り上がってくれますか? 生温かい目で見守ってください!」。宇多丸の巧みな話術が駆け抜けて、ラストを飾ったのは“ほとんどビョーキ”。曲中ではDJ JINが何度もアントニオ猪木のように「元気ですか?」と叫び、《ほとんどビョーキ》というサビのフレーズをMummy-Dと宇多丸と一緒にお客さんが大合唱していく。最後も簡単には終わらずに、異様な一体感を生むパーティー・チューンで締めくくる、「キング」の名にふさわしいステージだった。(田中大)