『COUNTDOWN JAPAN』には、デビュー年だった昨年に引き続いての出場となるthe HIATUS。聴く者の高揚感を煽り立てるトライバル・ビートのオープニングSEに乗って登場した細美武士は、「どーもー！ the HIATUSでーす！　最後までよろしくお願いしまーす!!」と上機嫌かつ気合の入りまくった挨拶を済ませ、今年６月にリリースされた彼らの2ndアルバム『ANOMALY』の冒頭を飾っていたナンバー"The Ivy"からパフォーマンスをスタートさせる。ときにギターから離した両の手を大きく横に広げながら、力強いボーカルを届けてくる細美であった。極めて金属的な響きを聴かせる、大音量の凄まじいバンド・サウンド。壊れかけた機関車が、崩れ行く車体から部品を撒き散らしながらもひたすら加速し続けるような、この唯一無二のサウンド・デザインは本当に凄い。クラシカルなピアノの旋律に導かれて始まる"My Own Worst Enemy"、高速のグルーヴでひた走るアッパーな"Monkeys"に至っても、この力づくで歴史から刷新されたサウンドは既に揺るぎ無いものになっていることが分かる。

視界いっぱいのハンド・クラップを巻き起こしてプレイされた"Storm Racers"を終えると細美、「こんばんは！　楽しんでますかぁー!?　参ったなコレ。すごい幸せですありがとう。昔聞いた話なんだけど、高校球児は甲子園に行ったという思い出だけで、いやネガティブな話じゃなくてね？　その達成感を糧に生きていけるらしくて。俺にとって今日は、その甲子園です！」と語る。それだけ自身の中に大きな達成感があるから、余計に光景は美しく見えるのだろう。見方をひとつ変えれば、甲子園は古い野球場でしかないし、幕張メッセはだだっ広いコンクリ打ちのホールでしかない。ここで見えている美しい景色は、そこに辿り着いた人々の人生を映し出したものなのだろう。腹にずっしりと響くウエノコウジのベースと、まるでオルゴールのようにドリーミーな音色を聴かせる伊澤一葉の鍵盤のコントラストが美しい"Walking Like A Man"、そして満場のオーディエンスによるシンガロングが広がった"ベテルギウスの灯"。様々な楽曲が、しかし一様に、ここに集まった人々の辿ってきた道のりを祝福するように鳴り響くのであった。ラスト・ナンバー"Insomnia"を披露し終えると、細美は「こんなにまだまだやり続けたいライブは久しぶりです！　どうもありがとう」と、名残惜しそうにEARTH STAGEの光景を見渡して、去っていったのであった。（小池宏和）