サウンドチェックを終えて「あと10分くらいしたら始まるから。今のうちに酒買ってきたほうがいいんじゃないの?」と観客に和やかに呼びかけるthe HIATUS・細美武士。11〜12月はホーンやストリングスなども加えた大編成でホール・ツアー『The Afterglow Tour 2012』を回り、さらなる進化を遂げたthe HIATUSの、2012年を締め括るアクト。満場のクラップに迎えられて舞台に現れた5人のステージは“Deerhounds”からスタート。細美が歌い上げる麗しのメロディ&たおやかなアコースティック・ギターの響きに、伊澤一葉のピアノの調べが艶やかな輝きを加えていく……常に自らの表現を研ぎ澄ませ、アレンジを更新し、より透徹した音世界を構築するべく探求を続けてきたthe HIATUSの音が、どこまでも雄大さと優しさと荘厳さをもって胸を揺さぶってくる。
「最高! 最高だねマジで! やばいな! 最高の忘年会じゃねえか! パアッといこうぜ!」と笑顔で語りかける細美の声に、オーディエンスも熱い歓声で応えていく。“Bittersweet / Hatching Mayflies”の緻密なフレーズの絡み合いが目映い高揚の風景を描き出した瞬間の、震えるほどの美しさ。真冬の冬空をも高く貫く勢いで歌い放たれる“Insomnia”の細美の絶唱。時にEARTH STAGE一面に拳の突き上がるエモーショナルな多幸感を放射し、時に静謐なサウンドスケープで精緻な美の地平を描き出していく5人。その音はどこまでも自由で、生命の喜びそのものの力強いヴァイブに満ちている。「2012年、お世話になりました! 2013年もよろしく! 絶っ対、いい年にしような!」と細美。「この3年ぐらいかけて、『仲間がいると何も怖くない』ってことに気がついたんだわ。俺らは、いつでもウェルカムだから、仲間がいないってやつは、いつでも俺らの仲間に入ってくれ!」……そんな彼の想いがそのまま高らかなアンサンブルと包容力あふれるメロディになったような“On Your Way Home”が、この場に集まった人すべてを祝福するように響いた。すべての音が止み、「よいお年を!」と叫んでガッツポーズを決めながらステージを後にする細美の姿が、至上のアクトによりいっそうの感動を与えていた。そして、最終日のEARTH STAGEもあと4アクトを残すのみ!(高橋智樹)
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